10月から株価の変動が激しくなっているが、先週はやや落ち着きを取り戻してきた。値動きは大きいながらも、コアレンジはズレていない。それはドル金利が短期も長期も高いレベルで張り付いているものの、さらなる上伸は見られないからであろう。
これは回りまわってドル相場にも影響を与えざるをえなくなる。一方的にドル高方向を攻めるわけにはいかなくなるのだ。ユーロドルもドル円も、年初来のドル高値水準で張り付いているのだから、高値警戒感はある。
それが先週の金曜日には、ドル売りの動きが出てきた。FRBの副議長が国内景気の原則を示唆して、それがドル金利を押し下げたのが直接の原因であるとされている。しかしどこかでドルを売らなければ、と考えていた市場参加者のドル売りを誘ったという短期需給の方が強いだろう。
ユーロドルも1.14台まで値を戻してきている。私はユーロドルのショート攻めにいそしんでいた週だったので、最後には買い戻しで終わることになったが、想定通りの上げ方でもあったので悔しさはそれほどでもない。
一方で中国との貿易戦争はやや下火になりつつある。米中の首脳会談を控えて事務レベルの協議も進展していると見えて、トランプ大統領が「これ以上の追加関税は必要ないかもしれない」と発言したためだ。
これでニューヨーク時間の午後からは株買いに勢いが出てきて、ドル円の下げはストップすることとなった。しかし別の政権幹部からは次回の首脳会談では目立った進展はないだろうという悲観的な意見も出てきており、結果が出てくるまで余談を許さない。
今週はG20から出てくる要人発言や首脳同士の会談が注目を浴びることになる。米中の貿易戦争の行方は決定的に解決されることはなかろうが、それでも安心感を得たいと思っている市場は過剰にリスクテークの方向で反応するかもしれない。ドル円、ユーロ円は再び高値攻めを始めるかもしれない。
またBREXIT関連法案のイギリス議会での運びも注目の的となる。数人の閣僚が辞職するなど混乱を極めている中、肝心の国会で法案を通すことができるのかどうか。世の中のコンセンサスとしては悲観的なものが多い。場合によってはポンドが急落する局面もあるかもしれない。
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