昨日も朝からリスク回避の流れとなっていたのだが、ドル円の下げは小さかった。東京時間ではほとんど下がらずで、欧州時間になって112.30あたりまで安値をつけた。といっても20ポイントほどだけ、やっと下がったのである。
ニューヨーク時間でも米国株が安値攻めをしているので基調は変わらないのだが、株安の割にはドル金利が下がらないので、それで為替相場へのインパクトも小さかったのかもしれない。金利が下がるべき時に下がらないのだから、実質的ナ金利は上昇したとも言える。
そのせいからなのか、ニューヨーク時間の午後からはドルの全面高の様相となった。私も朝に売り込んだドル円がロスカットさせられる始末。まったく面白くない一日だった。
サウジ問題に関してCIAの出した結論に対して意見を表明すると言っていたトランプ大統領だったが、結局のところ、サウジはお構いなしになったようだ。これは予想されたことだったが、行政の一環としてのCIAの存在意義を薄めるだけのこととなった。行政府のトップがCIAの調査結果にまだ疑念があるというのは、いかがなものか。
ところでカルロス・ゴーン氏が逮捕されて、名前に「容疑者」がつけられるようになった。やっていたことは10年も前からだったというから、なぜ今更なのかという疑問もわいてくる。2、3年前に同じような告発が行われても、まったく当局には相手にすらされなかったかもしれない。それには国際情勢や時間の経緯も無視できないことだろう。
まず第一に司法取引。これは今年になって日本でも採用されたばかりで、誣告やえん罪の頑強になるのではないかの危惧をともなっている。それを一掃するためにも、今回の大物経済人の逮捕劇は、推進して周知させたい法務省にとっては格好の材料だったと言えよう。また検察当局も荒木さんの無実から以降はまったく取り沙汰されることもなくなっていたので、何かしたくてうずうずしているところでもあった。
ゴーン氏の経営手法は利益重視よりも増収増益を重視すると言われている。極端な話し、薄利多売も良しとするスタンスだ。しかも日産のドル箱は北米地域。これでは来年早々にも始まるTAG交渉の足を引っ張ることにもなる。
自由貿易に反する数量規制などの目標を飲まされないためにも、販売台数だけは伸ばしたくはないところでもあった。経産省サイドにとってもタイミングの良すぎる逮捕劇だった。そしてTAG交渉の内容が物品を超えて為替問題に触れてほしくない財務省。ドル円の為替レートを円高に持っていかれるような操作だけは避けたいはずである。どことなく国をあげての国策捜査のようになってしまった感がある。
今晩はEU側からイタリア財政についての見解が出るようだ。強硬な意見を主張しているにしても、イタリアと決裂はしたくはないだろう。落としどころを探っているだろうという楽観的な見方がおおかただ。それゆえ「認めない」などといった厳しい評価が出てくると、織り込んでいまい分だけマーケットは混乱を呈するだろう。とくにユーロ売りの方向に注意を要する。
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