ドル金利の先高観がなくなったところで、どこのくらいのドル売り圧力が出てくるのか。これが当面の見ものである。この2、3年で進んできたドル高はいろいろな要因もあろうが、なんといってもアメリカがゼロ金利から脱して連続して利上げしてきたという事実が大きいからだ。
その利上げサイクルの打ち止めは大きなターニングポイントを与えること必定だからである。パウエル議長の発言以降は明らかにドルの全面安の傾向をたどったが、ドル円のほうが持ち上がったので、あまりドル安の感じがしない。
これは金利低下による資産効果で、マーケットがリスクオンとなり、世界的に株価が大きく持ち上がったからだ。リスクオンに目を隠されて、ストレートにドルの全面高にはならないものの、底流にはドル売り圧力の増幅が垣間見られるのである。
それは昨日の海外市場でも同様であった。やはりユーロドルやポンドドルなどの、円以外の対ドル通貨ペアは軒並みのドル安を演じた。ユーロドルが1.15台を目指す動きとなったのも、実に久しい感じがする。米国株も一段高したので、ドル円は堅調なままだった。これも前日と同様の動きとなった。
私としては金利的な側面を重視してしまう。金利の流れはそうは簡単に変わらない。金利が上がりだしたら数年は上げサイクルである。それが転換するのだったら、むこう数年はドル金利低下のほうでファンダメンタルズが形成されるはずである。
そういうわけでドルベアになって身構えていたのだが、ドル円に集中していた分だけ、相場に入りそこなうこととなった。最初から素直にユーロドルでも買っておけばよかったと後から思う…。
さて今日まで中国では米中貿易協議が開かれている。ロス商務長官もかなり前向きな発言を出したりしている。著作権保護の問題なども含んでいるため、そう簡単には解決がつかないことが予想される、また軍事問題などにもリンクさせて議論しだしたりもしているので、解決はなお困難さを極める。
それでも楽観視したいというマーケットの意気込みだけは強い。虫のいい考え方だが、それがアメリカ中心の金融マーケットなのだから仕方がないところだ。それがはげ落ちる瞬間をとらえたい。そのときには大きな揺り戻しと同時に、大幅なドル安をもたらす可能性を秘めている。
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