昨日は日本が休みの中、ドル相場が上昇した。ドル円は欧州序盤で110円台に乗せてきてからは、まったくの堅調な地合いを維持した。またユーロドルのほうもニューヨーク序盤で1.12台に突入してきて、そのままドル堅調。
ドル金利には大きく目立って上がってきたというわけでもないが、ドル買い材料としてはアメリカの交渉ごとの大詰めが近づいてきているからだろう。当初に主張していたような結果ができるとは誰も考えておらず、ほどよいところで手打ちとなるのだろうという見方が強まってきているからだ。
決定的に決裂して話し合いはもうしないという状況だけは避けたいということになるのがコンセンサスになりつつある。今週は米中協議の閣僚レベルの打ち合わせがある。それに向かっての水面下の協議も昨日より行われているので、思惑がいろいろと出てきて騒がしい。うまくいっているとか、難航しているとか。
それでいちいちマーケットのリスク動向が振り回されているが、そうした上下動の激しさは週の後半に向けてますます頻繁になるだろう。いまとなっては達成すべき内容の充実よりも、次回の会合までつなげるかどうかしか期待されていないようでもある。
中国サイドとしても知財権の保護などで大幅な譲歩はしそうにもないからである。落としどころでは農産品の購入枠の拡大くらいしか打ち出せないだろう。
この米中協議と絡んで米朝のベトナム会合での成果もあまり期待されていない。まずは外交上での実績を打ち出すのが先決であって、内容を詰めることまではできそうもないのである。これには中国の意向も絡んでおり、容易に核兵器を全廃するわけがないからである。北朝鮮問題はあまりマーケットを揺さぶる材料にはなりそうもない。
そして15日が期限とされる暫定予算の延長問題がある。昨日は両党の間での協議が不調に終わったが、いつまでも暫定予算でにわか妥協を繰り返しているわけにもいかない。民主党の主張するように、壁は作るには作るがコンクリートの分厚い壁ではなくて、金網の柵のようなもので手を打つのではないかともみられる。
それにAI製品を積んだ監視塔を立てるなどするのだ。そうすればどちら側にも主張が通ったと宣伝できるからである。そしてトランプ大統領も「ウオール」と言っていたのを、最近は「フェンス」だと言ってトーンダウンしてきてもいる。ともかくも予算の問題で壁のことが見えてきたら、ドルは一段高しそうである。
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