市場を取り巻いていたアメリカに関する不安定要因は大きく分けて3つある。米中協議、米朝会談、政府予算である。そのうちの2つが昨日のマーケットではやや解消される動きとなった。
アジア時間のうちに政府予算について共和党と民主党が原則合意しそうだとの報道が流れて、政府の再度のシャットダウンは回避されるだろうとの見込みとなった。これでグローベックスでの米国株は吹き上がり、日本株にも影響を与え、日経先物は500円弱の大幅上昇となった。
そうしたリスクテークの流れを背景に、ドル円もアジア時間では110円台のミドルで高値圏を維持。ただケチをつけるとすると、あまり目立った一段高をしなかったことである。確かに110円台にはオファーがたんまりと残っているのだろう。
それでも買い上げ意欲に乏しいというか、高いところを平然と買って行きにくいというか、むしろトップ・ヘビーな状況を裏付けるような展開となってしまっている。
ユーロドルのほうも安値攻めをしているが、1.12台の中盤からは歩みのペースがのろくなる。昨年の安値である1.1216あたりがテクニカル的にも意識されるのは仕方がないことだが、突っ込んでいかない。これもドル相場に一段高を感覚的に妨げているようだ。
欧州時間ではドルの反動が起こった。ドル円は軟化し、ユーロドルは1.13台回復のほうに向かった。しかしニューヨーク時間にはトランプ大統領が「米中協議が合意に向けて明確に進展が見られるならば、3月1日の期限を延期してもよい」という発言をしたのだ。
これは貿易問題がすぐには解消できないのだということを意味すると同時に、問題解決に対する強い姿勢を示すことでもある。これを受けてマーケットはリスクオン。米国株は一段高。
しかしドル相場へのインパクトは少なかった。ニューヨーク時間を通じて、総じてドルの利食い売りの勢いの方が大きかったと言えよう。ドルの高値攻めにはいっそうの材料を欲しているようだ。
昨年10月からの株価下落局面では、為替相場はそれ相応のドル安で反応仕切れなかった。そのためもあってか、最近の世界的な株高傾向にもドル高ですなおに反応できていない。ドル金利がそれほども動いていないからかもしれないが、それだけに株高だからといってドルをロングするというのは早計なのかもしれない。
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