昨日は市場のリスク許容度を下げる方向の材料が相次いだ。まずはアメリカの貿易収支。これが過去最大の赤字幅を記録したのだ。現在、米中の貿易交渉をしている最中だというのに皮肉なものである。しかしある程度の赤字増大は見込まれていた。
関税が上がる前に駆け込み需要が起こったわけで、それがアメリカ側のほうに大きく出たということだ。とくにモノの方面で大きな赤字となったのが、それを証明している。サービス分野はそれほどでもない。
しかし貿易収支の悪化はかなり織り込み済みでもあったので、まだ米中協議での前進に対する期待のほうが大きい。それでマーケットへの反応は限定的で、グローベックスの米国株もそれほど下がらないし、ドル安も進まなかった。
ドル円は10ポイント下がっただけで、とくにドルが下がったというわけでもない。ユーロドルの方も同様で、1.13台スレスレのところから脱していかない。つまりドルは全面高のままステイしているのである。
OECDの経済見通しでは、今年の成長率の予想を0.2ポイント引き下げたのだ。これは関税による貿易停滞もあろうが、BREXITの不透明感も、GDPの総量を押し下げている。さらには夜中に発表されたベージュブックの中でも関税の影響が意識されだしている。
リスクオフの流れがやや明確に現われだしたのは、ニューヨーク時間の午後になってからである。米国株は下がるには下がったが、大幅安には至らず。安値引けはしたものの、まだ押し目買いしておきたいという意欲は強いようだ。そして為替相場でもドル円は下がったといっても、111.50すら触らず。相変わらずドル高水準を維持している。
ドル円もユーロドルも値幅が小さいので、私としても何度かドルショートで臨んではみたものの、あまり心地よいトレードはできなかった。それでもあらかじめ「どうせそんなに動かないだろう」と覚悟もしているので、フラストレーションはたまることはなかった。
今晩はECBの金利会合がある。さほど注目を集めていないが、量的緩和に関して何らかの言及があるかもしれない。アメリカが量的引き締めからスタンスを転換したからだ。
ユーロ圏がマイナス金利からの脱却ができない上に、量的引き締めや正常化には時間がかかりそうだということになると、ユーロ安が一気に進む可能性もある。そして昨年来の安値も近づいてくる。そろそろユーロの季節かと考えたいところだが、果たして動くかどうか。
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