金曜日は欧州序盤において世界的な金利安となった。ドイツやアメリカの長期債が買われたのだ。むろんホルムズ海峡に絡んだ地政学的リスクの高まりによる質への逃避の一面もあっただろう。その上に中国の工業生産が17年ぶりの低水準となったことも、市場の金利低下を促した格好となった。
そうして6月利下げの期待も高まってくる中で、アメリカの経済指標が出た。小売売上高のコア部分は事前予想を上回り、また鉱工業生産も高い数値となった。これで6月利下げを期待するのは行き過ぎではないかとの反省が出て、マーケット全体が修正の向きに動いた。
為替相場ではドル売り一色から転じて、ドルの買い戻しが優勢となった。米国株は狭いレンジ内で終始。私も欧州時間からドル金利の低下をながめつつ、ドル円をショートに振ってみたのだが、108円ちょうどを下抜けることはなかった。
それで経済指標を迎えることになったので、私もいったんは撤退した。そして指標の結果を見た後では、とてもドルショートで構える勇気が持てなかった。
今週はそのFOMCがある。そもそも今回の6月利下げは市場で折り込んではいない。今回は利下げに関する地ならしだけかと考えられる。9月と12月に連続利下げしても不思議ではないような声明文が発せられるものと思われる。
市場は年2回分の利下げを完全に織り込んでいるので、利下げ姿勢が不明瞭なものになってしまうと、その反動はかなり大きなものとなることが予想される。ドルの買い戻しも大きく入るということだ。ましてや10年ほど前のバーナンキ議長のように「自分は、そんなこと言ってないよ」みたいなことを言ったら、なお激しい反応となろう。
重要な経済指標もあるのだが、今週はFOMCウイークにならざるをえない。それほど6月に入ってからのドル金利の低下は激しいものがあったからだ。これによって今年の後半のマーケットの行方もほぼ決定されることになる。
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