雇用統計の結果は、就業者数は13万人の増加となって、予想を下回った。失業率は3.7%で予想通りだったが、平均時給はプラス0.4%で予想を上回った。総じてマチマチの内容であった。それまでにアジア時間からリスクテークが進んでいたので、グローベックスでの米国株は一段高しなかった。また為替相場でもドルの一段高にはならなかった。
先週を振り返ると、月曜日はアメリカが休みであったが、毎日、大幅な値動きを示してきた週であった。しかし最後の重要な雇用統計の出た金曜日がもっとも小さい値幅の一日であったのは皮肉なものである。つまり市場で起こっているリスクテークの流れはチョウチンがついているだけで、誰もファンダメンタルズを重んじた動きではないということだ。
雇用統計の出た後の値動きの乏しさは、為替相場でも同様である。107円台を割り込んだドル円は106.65あたりまでは差し込んだものの、結局は30ポイントほどの狭い値動きに終始している。ユーロドルも1.1020から1.1050までの30ポイントの中に封じ込まれてしまっている。そして最近、吹き上がってきていたポンドドルも1.2300をはさんでのレンジ内の動きに徹したのみ。
パウエル議長がスイスで講演を行ったが、それとても目新しさはなかった。「政治に左右されない」としながらも、「国内景気は良い」とし、「大きなリスクがあるので適切な行動を」取るとしている。つまりは次回の小幅な利下げ継続を是認したようなものだ。連続利下げをするだけの正当な理由に窮しているのは以前と変わらない。
次も「予防的措置のため」とするならば、前回の利下げは何のためだったのかと言われそうなので、もっと明確な根拠をほしがっている様子だ。もうすでに「データ次第」で是々非々で政策を判断していく、という基本姿勢が失われつつある。
ともあれ来週のFOCMの前哨戦で、今週はECBの金利会合がある。ECBは前回に金融緩和を見送っただけに、今回はアクションを起こすことが見込まれている。それがどこまで緩和スタンスに関して積極的なのかが注目の的である。マイナス金利の深掘りはどこまでやるのか。
資産買い入れを軸とした量的緩和も検討するのか。もしくはアウトラインだけ示して何もせず、後任のラガルド氏に打つ手を残しておくのか。ユーロドルが今年の最安値圏で張り付いているままなので、ユーロの金融スタンスにはマーケットも興味津々だ。
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