先週末はアメリカの雇用統計であった。就業者数は13万人台の増加にとどまって事前の予想を下回ったが、水曜日に出た民間調査でもデータは悪かったので、想定の範囲内とされた。
一方で失業率のほうは事前予想よりも良い結果となって3.5%となって、これは49年ぶりの低水準である。平均賃金の方は変わらずとなって、予想を下回った。つまり雇用統計は良し悪しどっちつかずの結果となったわけである。
マーケットの反応としては、最初はドル売りで反応した。しかしドル円では前日の安値である106.50あたりまでで下げ止まってしまうと、すぐに反転に向かった。そして107円台にも乗せてきた。
107円台の前半からすでにオファーがびっしりと聞いてはいたが、それでもあまりにも簡単に107円台を回復となったので驚きもともなった。経済指標の意味を解釈するのは後回しでもよい。ともかくも107円台で売っておこうと思って、107.02で売り込んだ。107.15とかついたら、即座にポジションカットである。
パウエル議長がスピーチの中で昨今の金融政策は正しい方向であると強調したことから、俄然、10月利下げが現実味を増してきて、ドル金利は低下、そして金利低下を好材料としての株高が進んだ。要は金融相場の様相を呈したのである。
株高による円売り効果と、利下げ期待によるドル安効果に挟まれて、ドル円は106円台の後半で固まってしまった。私もニューヨーククローズ前に106.89で買い戻したが、それにしてもユーロドルも含めて雇用統計では思ったほど動かない為替相場であった。
今週は大きな経済指標が少ない代わりに、10日、11日と米中の閣僚級協議が控えている。市場の関心はもっぱら米中協議の行方にフォーカスされるだろう。米中協議は形だけでもまとめることができれば、それはリスクテークをもたらすことになる。
ドル円も一段高が期待され、11月のAPECでの首脳会談での合意の取り交わしまで流れは続くことになろう。反対に協議が何の合意も見られなければ、先週に見られたような急速な株価の調整をともなうリスク回避が起こりそうだ。その際には10月利下げだけでなく、12月にも連続利下げが期待され、それが年末にかけてのドル安をもたらすことになりそうだ。
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