米中協議の先行きがだいぶ怪しくなってきた。そもそも解決は困難なポイントをいくつも抱えている。知財権保護の問題、進出企業に課される技術供与の問題、そして国内企業への補助金のあり方である。
これらが交渉で簡単に解決できるマターではないため、貿易交渉も前進しないはずであった。それを「うまくいっている」とか「部分的には合意可能」という言葉で、時間稼ぎに供されていただけなのだ。根本の問題解決なくして、合意できるところだけ合意しても意味がないのは明らか。
中止に決まってしまったがAPECに合わせて米中合意文書に署名するはずであった。それが年内には無理そうだという観測がたったのだ。それで米国株は急落。しかしニューヨーククローズかけては米国株はかなり盛り返し、難なきを得ている。
そのためかドル円の押しも浅くて、欧州序盤につけた安値である108.35を下回ることができなかった。それでも1日の足形から見るとドル円は安値引けをしており、次の下攻めリスクを示唆している。
今朝になってトランプ大統領が香港の人権法案に署名するのではないかという報道が流れ、それが再びリスク回避の流れを促した。早朝のグローベックスセッションで米国株は再下落。日経先物も東京時間で23000円の大台を割り込んできて、大きく市場のムードを悪化させている。
ドル円の下げはやはり限定的であり、前日の安値をクリアに下回ることができないでいる。中国の副首相が「うまくいっている」と発言したことで、リスクテークに転じた局面もあったのだ。
それでも実際のところはどのような合意ができるのかは依然として不透明。マーケットは徐々に安易な合意で終わってしまうのではないかとの見方が強まってきている。貿易収支の肝心の所を視野に入れない合意が成されそうだということだ。
実を取らずに形を取ることに終始しそうだということだ。したがってマーケットのほうも要人発言には振らされることになる。
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