日本の連休が明けてからというもの、ドル円は109.80から110.00の間で完全にスタックしてしまった。上サイドを上がりきらないのはテクニカル的な抵抗もあるのだろうが、下値サイドの頑強さもすごいものがある。先週からの地政学的リスクの後退が背中を押しているのは事実だが、米国株がまったく下押ししないのでもサポートされている格好だ。
米国株の堅調さにしたがうようにドル金利が上昇すればいいのだが、それが短期金利も長期金利にも目立った上昇圧力はかかっていない。それがドル相場の一段高を妨げている原因にもなっている。世界的にも金利は上がらないものだというコンセンサスが形成されているようで、金利の上昇には限界があるというのが実情のようだ。
昨日は米国株が一段高し、グーグルの時価総額が1兆ドルを超えてきた。これでGAFAすべての銘柄が1兆ドル超えになった。時価総額をそのまま反映する株価指数であるS&P指数は3300ポイントの大台を超えてきた。利益ベースから米国株7の割高感はいなめないものの、それでも短期的な需給に支えられる形で、買いが買いを呼び込んでいる様相となっている。
そうした外部環境なので、昨日のドル円は110円台に乗せてはきたものの、それが一気に70ポイントほども急上昇するというような局面はなかった。やはりあくまでも戻し高値は110.20をバックに抵抗感がかなり強い。
今日になってドル円はそのレジスタンスを越えてきた。前日のニューヨーク市場で米国株が高値引けしたから、まだ買い余力があると読んでのことだろう。リスクテークの流れが強まって、ドル円もアップサイドをブレーク。私も持っていたドル円ショートポジションは強制的にカットさせられた。スローダウンが心配されている中国のGDPだったが、結果は予想と同じくプラス6.0%だった。
今晩はアメリカの経済指標で比較的に大きなものが出る。住宅着工件数、鉱工業生産、ミシガン大学などである。しかし市場の目は史上最高値を追いかけている米国株の方に向かっているので、マクロ指標ではいちいち反応しきれないだろう。ドル高はもっと可能なのかどうか。それを見極めたいところだ。
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