昨日はアジア時間はリスク回避で推移した。前日のトランプ大統領が指摘した「大規模な救済プラン」がいかなる物であるのか、具体的な事が出てこなかったからだ。米政府の記者会見の場にトランプ大統領が姿を現さなかったのが心証を悪くし、そのうえ内容も伝わってこなかった。
そもそも「普通のインフルエンザで去年は3万人死んでいる。今年もすでに2万人近くが死んでいる」と言っていた大統領だ。新型ウイルスで何十人かが死んだところで問題は小さいと見ていると思われても仕方のないところだ。軽視しているのではないかとの観測が強まったのだ。
そうしたリスクオフの流れでアジア時間ではドル円の足取りは重く、105円台で始まったのに104円台の前半まで押し込まれていた。そこへもってきて夕方にイギリスが電撃利下げ。50ベーシスポイントだから、先日のアメリカと変わりはない。
これはサプライズだったので、素直にポンドが売られた。ポンドドルが下がる過程でドル買いが起こり、為替相場ではドルが全面高の形となった。またイギリスの景気刺激策も出てきたので、市場のリスク許容度はやや回復した。ドル買いとリスクオンの影響で、ドル円は再び105円台まで値を戻してきた。
しかし米国株の大きな下げ分は埋めるに至らなかった。米政府から明確な姿勢が打ち出されない限り、積極的にリスクは取れないということなのだろう。ニューヨーク時間では米国株は一段安し、ドル円は再び104円台に沈んだ。
それでもようやくトランプ大統領が国民に向けて会見を行うとの発表があったので、米国株は史上最大の下げ幅を演ずる事にはならず、ドル円も104円台のミドルで下げ止まった。しかし今日になって実際にトランプ大統領の演説が終わってみると、それはとても短いものであった。
内容もこれまで出てきたものばかりだった。給与税の減税を議会にお願いするとか、2000億ドル規模の追加予算を要求するなど。これでは新鮮味に欠けるということで、グローベックスでは再び米国株は大幅安となっている。ニューヨークオープンまでに何か出てくるのかどうか、要注目である。
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