昨日のマーケットを支配したのは原油価格だった。20のドルの大台を割り込んで定着してしまうのかと思われていた原油相場が強まったのだ。きっかけはトランプ大統領のツイッターである。ロシアとサウジが1000BPDの減産で合意するだろうと漏らしたことだ。
これによって原油価格は27ドル台まで急騰。それにともなって市場のリスク許容度も大きく回復した。米国株も昨日は大幅上昇となり、為替相場でもド ルの全面高となった。
しかしアメリカ国内の石油会社には減産要請はしない模様との報道が流れ、原油相場の騰勢は失われた。減産のための合意を求めるならば、アメリカも最初に減産してしかるべきだという思惑があったからである。
私もドル円をショートで構えていたので、ニューヨーク序盤で損切りさせられることとなった。今回のパニック的なリスク回避の要因はコロナウイルス問題よりも、タイミングを同じくした原油相場の急落にあった。
だから原油価格の急騰にはそれなりの注意を要するのだ。これでリスクの動向に変化が見られれば、コロナ撲滅を待たずして大きなリスクテークに見舞われるかもしれないからだ。108円台に乗せてきた以降のドル円は、注意を払いつつも、しばらくは様子見して成り行きを見守るしかない。
さて今晩は雇用統計だ。集計の時期の違いもあるだろうし、失業保険のデータがすぐに雇用統計に反映されるものではない。だから就業者数が多く出ても、少なく出ても、マーケットは反応しにくいだろう。就業者数がそんなに劇的に減少していなければ、データは古いのだと一蹴されてしまうだろう。
一方で大きく凹んでいたにしても、これで底打ちかどうかがわからないということになる。どちらかに賭けろといったら、リスク回避の方向でベットしたほうが面白いはずである。昨日の原油価格の急騰も、今日になってだいぶ勢いを失ってきていることも手がかりだ。
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