先週の金曜日は雇用統計であった。すでにかなりの悪化が見込まれていたので、マーケットはそれに向けてのポジショニングに励まない。むしろどちらかというと最悪期を脱すのではないかとの楽観的な見方のほうが先行している。アジア時間から米国株は上昇幅を拡げており、悪い数字が出るというのに日本株も大きく上昇した。
FEDのマイナス金利がささやかれる中、ドル円も下方向に動きたさそうにしているが、そうした楽観論のおかげで市場のリスク許容度は増大。それがドル円の下値サイドをサポートした格好となっている。
そして雇用統計。就業者数は2050万人の減少で、失業率は14.7%、平均時給はプラス4.7%となって、いずれもこれまでに見たこともない数字だった。戦後最悪と言われても仕方がない。
しかし事前の予想よりも良かったので、それでマーケットには安心感を与えることとなった。また楽観論に基づいてリスクテークしたくて仕方のなかった人びとの背中を押したとも言えよう。ファ-ストアクションは素直に株買い・ドル買いの方向で動いた。
しかしすでにリスクテークはかなり進んだ状況でもあったので、1時間後に米国株の現物が始まる頃には力尽きて反落。ニューヨーククローズ間際になって再びリスクテークの流れが強まることになったが、ニューヨークコアタイムだけを見ると株価もドル円も動いた値幅はとても小さいものにとどまった。
雇用統計ですらこうなのだから、今週のイベントは材料薄だと言うしかない。注目はコロナ感染以来の高値圏でステイしている株価の動向だ。それを支えている一面にはFEDのマイナス金利政策への踏み込みもあるとしたら、短期金利の動向も気になるところだ。
FEDの主要メンバーの発言は予定されていないが、果たして市場との対話を重視した内容を是認できるのかどうか。それとも電撃利下げの時と同様に認めないのか。認めない立場を取るとしたら、それはマーケットの混乱を招くことになる。
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