FOMC後のパウエル議長が警戒を露わにしたことで市場のリスク回避姿勢は強まったのだが、その流れを昨日のマーケットは踏襲した。確かに製造業や飲食業などの雇用は急回復を見せるだろうが、本格的な雇用環境がそんなにすぐに元のレベルに戻るわけがない。
8月にも失業率が4.3%とかまでに戻ると思っていたのだろうか。どう考えても雇用回復には時間がかかり、今年の限っても年後半までに7%台を下回れるかどうかの水準である。
7%台といったらリーマンショックのときの最悪の数字だ。そのレベルすらも回復するのに時間がかかるとなると、市場も悠長に構えてはいられないはずだ。
そして昨日の米国株は大幅安となった。ダウ平均で1800ポイントの急落。まったく戻しの少ない下げ方となった。そうしたリスク相場の動向にもかかわらず、ドル円の下げ方は鈍いものがあった。
すでにアジア時間でも106円台に突入していたし、海外時間での安値が106.58だったことを考え合わせると、それほども勢いもない状態だったのがわかる。私も簡単にショート攻めで取れるものと安直に考えていたが、ドル円を売った後に利食いで買い戻すまでは時間がかかって苦労を要した。
それよりも目立って下げたのはユーロドルやポンドドルの方である。外部環境的にはドル金利が下がっているので、ドル売り圧力が高まってもおかしくはないところ。それがクロス円の売りに押される形で、ユーロやポンドまで下がってしまう形となっているのである。日本円の全面安なのだが、その中でもドル円がいちばん反応が鈍かったというしかない。
今日は日本株のSQ値の決定などがあったが、それによるものとも思われないが、日本株はものすごく上がっている。前日の海外市場のリスク回避をまったく反映していない。日経先物はニューヨーククローズの時点よりも500円以上も上がってしまっている。つまり日本人しか買っていないといういつものパターンなのだが、それによってドル円も下げ渋っている。
今晩の見どころは、言うまでもなく米国株の行方である。もう一段の下押しがあるのか、ないのか。もしも水準を切り下げそうであるならば、今回もクロス円の売り時だということになりそうだ。とくにユーロ円は120円ちょうどを割り込んでくれば、ここ1週間分の投げ売りストップも誘発しそうである。
日本時間 15時00分
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)