昨日はFOMCであった。政策金利に変更はなく、今後の見通しに関しても先日、パウエル議長がジャクソンホルで講演した内容に沿ったものであった。にわかにインフレ指標がプラス2.0%を越えてもそれを許容するとし、資産買い入れのペースも従来通りとした。
強いて目新しいことといえば、2023年まで現在の低金利を維持するような意思を表明したことだ。これは2022年までとしていた従来の見解よりも、さらに緩和的な姿勢である。
ドル円はすでに104円台に突入もしていたが、深押しはしていなかった。FOMCの声明文が出れば少しは動くかと思われたが、20ポイントほどの動きにとどまった。パウエル議長の発言内容も見てみたいという考えからだろう。
パウエル議長の会見はリモートで行われたが、これも内容としてはフレッシュ感はなし。政府サイドに財政支出の必要性を強調する形になっただけで、米国株はその後は後退している。
結局、ドル円やユーロ円が少しだけ軟化したということだろうか。ユーロ円は124円台にまで下がってきているので、リスクテークのし過ぎの調整ということが顕著になっている。
FOMCが行われるまではマーケットの流れが金融相場の展開で進んできた。金融相場というのは金利商品と株価が同じ方向に進む物を言う。最近のように金融緩和が求められているときには、ドル金利が下がると同時に株価が上がるのだ。これはリスク相場とは違った展開である。
リスク相場というのは株価が上がったら、資金が債券から株券に流れるということなので、価格は反対に動く。米国株が上がれば米国債は下がる、つまりドル金利は上昇することになる。だから金融相場が終わるまでは相場の動きに注意を要する。
為替相場ではドルの価値はドル金利に左右されるので、どちらの相場展開で動いているのかを見極めて手を出さないと、反対のポジションを持ってしまうことにもなりかねないのである。
昨日のマーケットが終わった段階では、まだ金融相場の様相を呈している。FOMCでは新鮮味がなかったことで、ドルの長期金利は上昇に向かっており、米国株は下げてしまっているからだ。FOCMの結果をちゃんと消化した後に、リスク相場に戻ってから参戦した方が、相場にも入りやすく、出るタイミングの見極めも簡単なものとなる。
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