アメリカの雇用統計だった。事前の予想はやはり大きめに出ていたが、就業者数は20万人台の増加のみだった。失業率は6.1%で、これも完全に予想を裏切るほどの悪い結果であった。
しかし当面は失業率の目立った回復はないものとも思われる。理由は失業給付の上乗せ部分が9月まで延長されたことによる。外食店舗などの活動が再開しても、そこで働くよりも多くの給付が受けられるのであれば、職場に戻るのは後送りになるのもやむをえない。ベーシックインカムを導入すると労働意欲がなくなると主張する人の意見と同様のことが問題になる可能性が高い。
実際に平均時給は大幅に上がってきている。労働力の逼迫による失業率の悪さを証明するかのように、ドル金利は元の水準に戻ってしまっている。データ発表直後は驚いてドル金利の急低下が見られたのに、原因がわかってしまうと金融緩和の長期化の懸念は払拭されたのである。
ドル相場も概ねそうした動きと同調して、発表直後は激しくドル売りを浴びた。ドル円もユーロドルも100ポイント近くのドル安を演じた。ニューヨーク時間そのものではさらにドルを売り込むといった動きは見せなかったものの、米国株が史上最高値をつけるほどの堅調さを示しているなかでクロス円が買われ、ユーロドルは一段高してそのまま高値引けして終了している。
今週はその後の経過を見極める期間となる。金融緩和の長期化は本当にありうるのかどうか。これは米長期債の利回りをウオッチしていく必要があろう。やはり米国内の景気は過熱気味だということになれば、すかさずドルは買い戻されるだろう。私もドルが反転・上昇に向かうのではないかと考えている。
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