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田向宏行
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ドル・円・ユーロの明日はどっちだ!?


ドルはどこまで下がるのか? (4)

2008年04月15日(火)14:59公開 (2008年04月15日(火)14:59更新)
ザイFX!編集部

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 いったい、ドルはどこまで下がるんだろう? 『ザイFX!』編集部がいろんな人に根掘り葉掘り聞いていく当コーナー。今回は松田哲さんに、ドル/円相場の今後について話を聞いた。

 当サイト『ザイFX!』でも「FX一刀両断!」というコラムを連載している松田さんは、早くから円キャリートレード崩壊に警鐘を鳴らし、円高局面が来ることを予想していた。

 昨年以降、松田さんはFXの単行本で立て続けにヒットを飛ばしているが、なんといってもその1冊のタイトルはズバリ、『外貨崩落』(技術評論社)である。

 すなわち、松田さんは「ドルはどこまで下がるのか?」というテーマにもっともふさわしい論客と言えるのだ。


 ところで、みなさん、1兆円という金額をトレードする感覚が想像つきますか? 実は松田さん、1989~1990年のバブル期に三菱信託銀行で為替ディーラーとして活躍していたのだが、その頃、1日で1兆円も売買していたというのだ。

 「いっぺんに1兆円買うわけじゃありませんよ。1日中、売ったり買ったりした合計が1兆円ということです。まあ、それは売買の多い日の金額で、平均すればだいたい1日7000億円くらいでしょうか。利益は年間で20億円ほどでしたかねぇ」

 当時はバブル期だけに運用資金も潤沢だったようだが、それにしても1兆円の売買とは…。記者にはちょっと想像しにくい金額だった。

■今年一杯はドル安円高が続くと考えた方がむしろ常識的

 さて、そんなスゴい金額をトレードしていた松田さんだが、ここまでその予想どおりにドル安円高は進んできた。ただ、ドル/円は3月に95円台まで急落したあと、4月は100円以上のところまで戻してきている。ドル安円高傾向はもう終わったのだろうか? 松田さんの今後の見通しは?

 「結論から言うと、円高基調は変わっていないと思います。当分円高は続くでしょう」

 ドル安円高を当ててきた男はさらなる円高を予想している。その根拠はまずドル高の期間、円高の期間という「サイクル」にあるようだ。

 「過去10年以上のドル/円相場を見ると、円高基調の期間がおおよそ2~3年、ドル高基調の期間がおおよそ2~3年ということを繰り返しています

 この期間は短いと1年半、長いと4年程度になることもあるようだが、大きな波はだいたい2~3年で循環しているとのことだ。

 「今回のドル高のピークは昨年6月につけた124円。すると、今年6月で円高が始まって1年になります。来年の6月で2年。経験則に従えば、来年の6月までドル安円高傾向が続くと言えます。少なめに見積もっても今年一杯はドル安円高傾向が続くと考えた方がむしろ常識的でしょう」

 そして、「もちろん、相場ですから、誰にもわからないことですが…」と言いつつ、こうつけ加えた。

 「長ければ、2010年頃まで円高傾向が続いても不思議ではないですよ。2010年6月で丸3年ですからね」

 ドル/円相場の「サイクル」から考えて、まだまだ円高は続きそうということなのだ。

■米国はまだ景気後退期じゃないという人の顔を見てみたい

 今年3月17日、あの時、ドル/円はみるみるうちに95円台まで下がっていった。そのあとは結構なスピードで反発し、悪い経済指標が出ても、ひどくは下がらない感じとなっている。あの3月17日がセリングクライマックスだったということはないんだろうか?

 アメリカ経済は今は悪いが、もうこのへんが大底で、今年後半からは良くなっていく。それを見越してすでに相場は動き始めている----そんな見方も出ているのだが…。

 「それはそうあってほしいという願望にすぎないと思いますよ。何の証拠もないけど、漠然とした期待。ボクはもうアメリカは景気後退期に入っていると思います。昨年9月からたったの6ヵ月で、アメリカの政策金利は3%も下がった。それで景気後退期じゃないという人の顔を見てみたいもんですね。雇用統計、あんなに悪いのに景気後退期に入ってないってなんで言うの?」

 4月4日に発表されたアメリカの雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月に比べ8万人も減少。これは5年ぶりの大幅な減少となっている。

 「サブプライムローン問題もまだまだ出口が見えないですよね。損失額がどうなるかわからない。シティバンクが3兆円、メリルリンチが2兆円の損失。それにベアスターンズが破綻同然だったわけですから。単純計算しても、10兆円や20兆円という数字ではなく、全体ではもっとすごい損失が出ているはずです」

 どうやら、サブプライムローン問題、そして、アメリカの景気後退という状況から見て、ドル安は当然というのが松田さんの見方なのである。しかし、ドル安の真の原因はさらに他にあると松田さんは続けるのだった…。

 (「ドルはどこまで下がるのか? (5)」へつづく)

(ザイFX!編集部・井口稔)
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