木曜日に米国株が大きく下がったので、金曜日のマーケットはリスク回避に備える姿勢のほうが強まった。物価高騰によるインフレ懸念の再燃、そして大型支出にともなって必要となってくる債務上限引き上げの作業停滞である。部分的にそれらの困難は解決されたとはいえ、東京市場でもリスク回避の動きが出てきて日本株は下げた。
日経先物は28675円まで切り下げて、これで自民党の総裁選が始まる前の水準まで完全に逆戻りしたことになる。また中国市場が長期のお休みに入っていることも、マーケットのバッファーになるものを足りなくしている。
リスクに敏感なユーロ円は128円台の中盤まで下げ続けてきたので、ますますマーケットのリスク許容度は低下していた。しかしニューヨーク序盤に向かって徐々にリスクの方向は上向きとなった。製薬会社のメルクが経口治療薬の試験に良い成果が上げられそうだと言うことだった。それがフォロー材料と成って米国株は大きく反発。前日のロスをすべて回収した。
そうしたリスク動向の反転もあって、金曜日はドル園もユーロ円も値を戻した。ドル円は111円台を回復して、クロス円は全面高。ユーロドルは終値ベースでも1.15台となっており、先行きのドル上昇感を匂わせている。
今週は週末の雇用統計まで大きな材料はない。その一方で日本側では政治に絡んだ動きが出てくるのは確実だ。週明けの組閣とそれに伴う首班指名。来週には衆院の任期満了で、いよいよ選挙モード突入である。自民党の総裁選が自民党に有利に働くとされているが、それがマーケットにどのような影響を与えるのか。再びリスクオンで歓迎ムードとなるのか。見極めが必要となる。
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