毎月の第一金曜日、いつもならとても注目される雇用統計。実際に出たペイロール(非農業部門の就業者数)プラス29万人は予想を大幅に上回わる増加で、ドルは全面高へ。ドル円は一瞬、93円台前半まで吹いたが、すぐに92円台のローまで下がってきた。失業率が9.9%とコンセンサスに反して増えていたこともある。しかし根本的に今のマーケットの関心事は、ギリシャ問題など、リスク回避の動きがどのくらい波及していくかだ。
リスク回避の動きが進めば為替市場は円全面高の展開となりやすい。前日に米国株が史上最大の急落を演じているだけに、マーケットのリスク度合いを見たいために、すぐにみな米国株オープンに注目が移ってしまった。
私は金曜日の夜は戻り売り体制でいたので、指標の発表後にドル円が93.22をつけた後、93.20にドル円の売り注文を出してみたが、一度も93円台を見ることなく米国市場がスタートした。はじまりこそ米国株も堅調となったが、あまり元気はない。それどころか、ニューヨークでまたもやテロ?という話しもでてきて、ドル円は90円台まで下落してきた。突っ込み売りも考えたが、週末に緊急のEU協議もあるようだし、下手に持つのもよくないので私は何もせずに終わった。
日曜日、EUはアジア市場がはじまる前を狙って、さらに大規模な支援策を発表した。新たな基金の創設が発表され、ギリシャ以外の国々が破綻した場合も想定した金額が示された。 ECB(欧州中銀)がユーロ圏の国が発行する国債などを買い入れることにも道も開き、リーマンショック時のように、各国がスワップ協定などで協調する姿勢を見せたことも良かったのだろう。
週明けの早朝、ユーロドルは先週末から200ポイント以上の大幅高でスタートし、リスクテークからクロス円も全面高となった。欧州市場に入ってもこの流れは引き継がれている。
たしかに先週は一方的にリスク回避に向かったこともあるので、当面は危機を乗り切れるという安堵感は出てはいる。今回のEUの発表で、ようやく当局者の危機意識が強く示されたとも思う。またユーロドルでは昨年秋の高値から17%以上も下落していてきただけに、戻り余地もある。
しかし日曜日におこなわれたドイツの地方議会選挙で、メルケル首相の政党は大敗。それぞれの国内での疑念や不満という火種を消すには至っていないようだ。ユーロの先安観まで完全に消し去ったようには見えない。
ドル円はアジア市場では92円台後半でもたついていたが、欧州市場に入ってくると93.50もつけにきた。しかし93円から95円のレンジが続いた後、下に推移してきてしまっているだけに93円台アッパーの重たさも意識される。私としてはドル円のロング、ショートどちらにもアクションを起こせるようにして、米国市場での反応を確認してから臨みたいと考えている。
日本時間 19時00分
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