シンガポールが本日の午前中、自国通貨の切り上げに踏み切った。対ドルではシンガポールドルは200ポイント級の上げを演じている。なにしろ本日発表されたシンガポールの第1四半期のGDPは32.1%もの伸びを見せていて、中国も顔負けのびっくりな伸び率だった。
アジアではインド、マレーシアなども金利を引き上げてきているし、中国も手形オペを開始するなどして出口に向けて動き出している。シンガポールの通貨切り上げも実質的な金融引き締めである。
FRB(米連銀)が3月中旬に公定歩合をもういちど引き上げることを検討していたらしい。このことから、今晩からのバーナンキ議長の議会証言において、「長期にわたる低金利政策の持続」といってきた表現に修正が加わるのでは?という思惑も昨日のニューヨーク市場では囁かれていた。
もちろん、アメリカ企業の決算発表のさなかであるし、ドル金利の動きなどから見る限り、まあ単なるウワサの類にしか過ぎないと思う。少なくも今回の議会証言でバーナンキ議長がそんなことを迂闊に話すとは思えない。しかしこうした話題が出てくると、リスクテークを続けていきづらい雰囲気に転じていく可能性はある。
それに引き換え、なんと日本はのん気なことか。
昨夕、EU加盟国がギリシャ支援を発表してから初めてとなる、ギリシャの入札がおこなわれることになっていた。したがって、それまでは様子見ムードが強くなっていた。そこにいきなりドル円が50ポイントも一気に上げてきたのだ。6月末までには人民元について何らかの発表をおこなうよう要求されているため、中国関連の話しでもあったのかと思った。
ところが、日本発だった。
民主党内で今度の参院選挙向けの新たなマニフェストに、「1米ドル120円前後を目安に相場が適切な水準を保つように最大限の努力をおこなう」という案を入れることを検討しているというのだ。具体的な数字を入れたほうがリアリティがあるという発想なのだろが、公約にするにはあまりに戦略としてのリアリティがない。
さらに他国の状況を見渡せば、まさに時代に逆行している。その分、結果的に円安になってしまうかもしれないが、そんなことで競争力が回復するようでは、外需頼み以外の何物でもない。民主党政権は、内需振興を謳っていたはずなのに・・・。ついに韓国は格上げまでされているというのに、なんだか寂しい限りである。
結局、この民主デフレ脱却議連の案はトーンダウンさせる事にしたらしいが、ドル円は93.39まで急上昇することとなった。すかさず私は93.50にロスカット注文を置いて93.20でドル円のショートを作ってみた。
ギリシャの入札は、確かに応札自体は好調ではあったが、やはり予想通りに金利は高いものになった。米国株は低調にスタートし、ドル円は92.60台まで下がってきた。だが下にも走らず92.70台での鈍い動き。そもそも円売り材料が出ているなかの逆張りなので欲張れない。私はポジションをクローズした。
今朝のインテルの決算は良いものだった。グローベックスの米国株も堅調さをキープしているし、欧州株もこのインテル効果が続いていて良い滑り出しとなっている。しかしニューヨークオープン前に金融機関の先陣を切って発表されるJPモルガンの決算を見る必要がある。
それに今晩の小売売上高は大いに注目される。昨日のアメリカの貿易収支は輸入が増えているということで赤字幅が予想よりも多かった。堅調な消費活動のお陰なのだろうか。小売売上高の結果が良い場合にはリスクテークの動きは強まるだろう。しかし、同時にまたアメリカの出口が意識されてくることにもなる。高値圏をキープしている株価の動向には要注視である。
ユーロ円は4月の高値である127.93を上抜けしていけるかどうかというところにいる。今夜のイベントを見つつ、リスク回避方向への動くようであれば、私はユーロ円の下落を取りにいくつもりでいる。トレンドとは反対のことをしているので、撤退も早めにすることにして。
日本時間 18時20分
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