バイデン大統領が追加の措置として、石油戦略備蓄の放出を決定した。100万BPDなので、量としては結構なものだ。確かにこんな時に放出しなかったら、いったい何のための備蓄かという議論もある。
アメリカはガソリンなどにかかる税金が少ないために、政策的に値下げできる余地が少ないのだ。こういうときのために備蓄していたのではないかという意見がいっぱいになっていたところだ。ロシアの紛争も理由になる。
それが発表されたせいもあって、原油相場は軟化し、100ドルの大台を割り込んだ。インフレの最大の懸念だったエネルギー関連で値下がりの兆候を示したのだ。それをうけて米ドル金利も低下したが、イールド・インバージョンはおさまっていない。
ドル円はアジア時間にしっかりと122円台に乗せてきたが、やはり122円台は重たかった。欧州序盤で122円台割れを喫すると、121円台の前半まで押し込まれた。短期的にストップロスがたまっていたのは事実だが、どうも上値が重いとみた人びとがショート転しだしているということだろう。
確かに私も122円台はタイトストップでも売り込んでみたい気はする。もうかなりの水準まで年内の利上げ分を、市場が織り込んでしまっているからだ。よほど激しいインフレ状況でも招かないと、毎回のFOMCで50ベーシスずつの利上げとかにはならないであろう。
そして昨日の為替相場ではクロス円でも大きな調整となった。ユーロ円はトップから2円ほども下げを強制され、そのまま安値引け。その分、久しぶりにユーロドルも大きく下げることとなった。
今晩は雇用統計だ。予想では50万人近くの増加が見込まれているが、今となってはあまり重要視されていない。多少の上下で目先の金融政策が変わるとは思えないからだ。日銀のオペ増額ということで、東京時間になってからまた円売りに弾みがついたが、それよりもウクライナ紛争にまつわるエネルギー価格やドル金利の動向のほうが要注意だろう。
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