イギリスで大幅な財政支出のひとつであった高額所得者への減税案が撤回された。ただでさえ財政負担の大きさが問題になっているのに、お金持ちを優遇する必要はないだろうということだ。
しかしこれは党首選の公約でもあったことであり、今後の保守層とのすりあわせが問題になる。また奇妙な無駄使いみたいなものが出てくるかもしれない。それでもマーケットは財政の改善を好感して、欧州の長期金利が低下。米国債もつられて利回り低下が著しくなって、米国株は大幅に上昇した。
ドル金利の低下にもかかわらず、ドル相場は高いままで積極的なドル売りは出てこなかった。ドル円は145円台に乗せた後に、下がったと言っても144円台まで。たいしてドル売りは進んでいない。
ユーロドルは100ポイントも値幅がなかった。しかし金利の低下は一時的なものとは見られ、やはり来月2日のFOMCにかけて、もう一段高してもおかしくはない。そういう思いもあり、ドル相場の軟化には限界があるのだろう。
大幅な財政支出のうち不人気な部分を削ったイギリスではあるが、それと対照的に日本はどうか。今国会でも補正予算の使い道として、物価高対策がたくさん盛り込まれるようだ。ガソリン代の補助の延長や、電気代の上限を設けることなど。しかしこの財源は税金である。歳出が間に合わなくて、借金している状態なのだ。
道路や建物などインフラを借金して作るのは構成に資産も残すという意味でも、ある程度は是認される。しかし物価高のための補助金だということになると、現在の生活者の支払えない電気代などを後世の人に支払ってもらっているようなものだ。果たしていつまで続けるのか。日本もイギリスのように国債が急落していないから悠長に構えているだけに見える。
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