今回の地震で被害を受けられたみなさまに心よりお見舞い申し上げます。1日も早い復興をお祈り申し上げます。
3月11日(金)に起こった東日本巨大地震。その規模はマグニチュード9.0という世界最大級のものであり、東北地方を中心に甚大な被害が広がっている。地震の影響で福島第一原発では水素爆発が2回起こっており、これも非常に気になるところだ。
さて、この地震により、米ドル/円相場はどう動いただろうか?
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)
上図は米ドル/円の1時間足チャートだが、大地震発生直後は円安方向へ振れたものの、それは比較的短時間で終わり、一転円高が進んでいる。
また、週明け3月14日(月)の朝は、一時80.6円付近まで激しく円高が進んだ。しかし、それも一転して再び円安方向へ振れている。
大地震は日本経済にマイナスという意味では円売り材料だろうが、「リスク回避」の動きというと、円高になるのが最近の定番。
また、震災対策で日本の財政危機がさらに深刻化すれば、円売り材料となるだろうが、日本の投資家が外貨建て資産を処分して円に替える動き(リパトリエーション)が起こって円高になるとの見方もある。
結局、大地震の影響で円安になる材料も円高になる材料も両方あるようなのだ。
3月14日(月)には日銀が過去最大となる15兆円の即日資金供給を行い、さらに資産買い入れ基金を約5兆円増額し、合計40兆円程度にする追加緩和策を決定した。これも相場に影響を与えているようだ。
結局、決定的に円安になるとも決定的に円高になるとも言えない、よくわからない状況なのだが、ここで参考までに、1995年の阪神・淡路大震災のときに米ドル/円相場がどう動いたか、振り返っておこう。
以下は阪神・淡路大震災前後の米ドル/円チャートだ。
これを見ると、1月17日の阪神・淡路大震災の直後はそれほど大きな動きとなっていないことがわかる。
ただ、それで安心するのは早い。
その少しあとに大きく円高が進行している。約3ヵ月後の4月19日には戦後の変動相場制以降の米ドル/円最安値(79.75円)をつけるに至っているのだ(上のチャートは終値ベースのため、80円をギリギリ割れていない)。
あの有名な「79.75円の米ドル/円最安値」は阪神・淡路大震災の3ヵ月後にやってきているのである。
相場変動の要因はさまざまだ。1995年に起こったことがそのまま、また起こるかどうかはもちろんわからないが、以上の点を参考までにお伝えしたい。
いずれにせよ、相場に参加するなら、気を引き締めて臨んだほうがいいだろう。
(ザイFX!編集部・井口稔)
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