ここで、2000年9月に行われたG7による「ユーロ買い」の協調介入を振り返ってみましょう。
ユーロ/米ドルは、協調介入が入った後、0.8576ドルから0.8992ドルまで急騰しました。
協調介入が入ったことで、多くの参加者が「ユーロ/米ドルはボトムアウトした」と考え、市場はしだいにユーロロング(ユーロの買い持ち)へと傾きます。
しかし、マーケットが期待した協調介入は行われず、ユーロ/米ドルはしだいに反発が弱くなり、協調介入が入った翌月の10月には、ユーロの史上最安値である0.8228ドルまで下落しています。
その後、ユーロ/米ドルは金利の追い風もあり、反発を開始。そして、長期にわたる「ユーロ高」の相場が始まるという流れになりました。
■中期的には、しだいに円安の流れになるのでは?
今回の米ドル/円についても、米ドルと円の金利差拡大というファクターがない環境下、わずか1日の協調介入だけで、マーケット参加者のセンチメントを変えられるとは思えず、時間がかかりそうです。
加えて、今回行われた協調介入自体、急激な「円高、株安」という「パニック相場」を沈静化させることが目的で、その「パニック相場」は収まっており、今後の「押し上げ介入」は期待できないと考えています。
まず、当面の米ドル/円の安値のメドは、マーケット参加者が日銀の防衛ラインと考えている80.00円。
上値は、本邦輸出企業の米ドル売り注文が集中している82円のレンジで推移する可能性が濃厚です。
しかし、この防衛ラインを意識するのは危険かもしれません。
2010年9月の「仙谷防衛ライン=82円(※)」を例に出すまでもなく、マーケットが防衛ラインと読んだラインはことごとく突破されることが多いので、要注意です。
(※編集部注:2010年9月15日に日本の当局による円売り介入が行われた際、当時の仙谷官房長官は会見で、82.00円が防衛ラインになったと発言している)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
短期的には、市場は米ドル/円の底値を模索しつつ、80~82円を中心としたレンジで当面は推移すると考えられます。
ただ、中期で見れば、しだいに円安の流れに変わっていくのではないでしょうか?
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