トランプ関税に米国際貿易裁判所が差し止め命令! マーケットは株高、米ドル高、円安、スイスフラン安で反応
みなさん、こんにちは。
日本時間5月29日(木)未明のシドニー市場で「トランプ関税に差し止め命令」というショッキングな報道が流れ、マーケットは大きく動いています。
トランプ政権が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき課した関税を、米国際貿易裁判所が差し止めるという報道です。
その理由ですが、国際緊急経済権限法は本来、文字どおり「国家緊急事態、安全保障上の深刻な脅威」などに対応するための法律。
この法律をトランプ政権が「貿易赤字などの経済的な理由」で発動するのは趣旨に反する、つまり権限の使い方が違うという判断を今回、米国際貿易裁判所がしたわけです。
ホワイトハウスは当然、激しく反論しています。ホワイトハウスのクシュ・デサイ報道官は「緊急事態への対応方法を決めるのは選挙で選ばれていない裁判官の役割ではない。政権はあらゆる執行権限を駆使してこの危機に対処し、米国の偉大さを取り戻す」としています。
さて、これを最高裁はどう判断するのでしょうか?
マーケットはまず、シンプルな反応を見せました。基本的に関税負担が減る可能性が高いとし、総じてリスクオン。「株高、米ドル高、円安、スイスフラン安」の流れです。
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米ドル安の流れは変わらず。関税による収入が想定できなければ、マーケットが注目する米債務問題の解決の道筋がはっきりせず
この株高、米ドル高の流れが続くのかどうかですが、個人的にはちょっと懐疑的です。
なぜかというと、先週(5月19日~)からマーケットの注目が、関税から米債務問題に徐々に移行しているから。
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⇒米ドル/円は138円に向けて戻り売り継続! 注目は関税から米財政問題に。米ドル/円の上昇要因だった米金利上昇が、解放の日以降、米ドル安要因となり上値は限定的に(5月22日、西原宏一)
加えてこの問題は、トランプ政権が進めている「One、Big、Beautiful Bill」と銘打つ減税法案に影響を及ぼします。
現在上院が審議しているこの法案では、連邦政府の収入のひとつに「関税による収入」が想定されています。
つまり、「関税による収入」が想定できなければ、「One、Big、Beautifulな法案」の通過が難しくなります。
結果、先週からくすぶっている米債務問題の解決の道筋がはっきりしないことになり、これは米ドル高ではなく、米ドル売り要因となりそうです。
米ドル/円に関しては「今週の作戦会議」で取り上げたように、節目の142円台をブレイクするのに時間がかかりそうなので、変わらず辛抱強く戻り待ち。
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⇒米ドル/円の目標値138円は変わらずも、142円台から上でショートを追加できるよう慎重にポジション管理。関税から米債務問題に注目が移行し、米ドルの上値は重いまま(5月26日、西原宏一&叶内文子)

(出所:TradingView)
マーケットの不透明感が増してきているため、対スイスフランでの米ドルショートのほうが効率的でしょうか?

(出所:TradingView)
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