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田向宏行
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持田有紀子の「戦うオンナのマーケット日記」

原発事故はワーストランクに引き上げで、
市場は冷え冷え

2011年04月12日(火)18:20公開 (2011年04月12日(火)18:20更新)
持田有紀子

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 昨日の金融マーケットでは、リスク回避の材料に事欠かなかった。そもそも昼間からドル円やユーロ円の上サイドへの伸びは鈍くなっており、オーダー状況を聞いてもオファーがいっぱいという感じ。市場の調整は仕方がなかったのかもしれない。

 夕方の5時過ぎには関東地方でも大きな揺れが来た。これによってリスク回避の動きは始まって、ドル円も84円台のミドルまで下がった。欧州株やグローベックスでの米国株も値を下げている。私はユーロドルのショートポジションを持っていたのだが、ちょっとユーロ円に乗り換えるべきかを悩んだ。

 悩んだ場合は、後悔しないほうを選ぶしかないのだが、いつものように時間が経つと何もなかったかのごとくリスクテークに走る日々が続いていたので、ユーロ円のショートではリスクの取り過ぎではないかと思い直して、ユーロドルのままで我慢することにした。

 欧州市場ではユーロドルはたしかに重い足取りではあったが、ぜんぜん1.44台を割り込むような勢いもない。おまけに米国市場では経済イベントがほとんどないのだ。

 しかしIMFのアウトルックが公表されて、想像の通りだったが、日本だけに限らず、アメリカの成長率も下方修正された。米国株は安値攻めに入ったが、為替相場ではクロス円が若干ゆるんだ程度。ユーロドルも1.4420あたりまでが下げの限界だった。

 ただこれまで値を飛ばしてきた原油が大幅に下落している。アジア時間に113ドルを取引していたことを考えれば、109ドル台までの下げはリスク許容度の低下だけにとどまらず、短期筋の投げ売りも含んでのことだろう。

 私は早起きしてニューヨーククローズを見守っていたが、原油は108ドル台での安値引け。前日からは5ドル弱の下げだ。ニューヨーク市場が終わってから、NHKでは原発の危険度をレベル7に格上げするという報道が出た。

 これでリスク回避の動きが決定的となった。私は速攻でドル円を売ってみた。84.61だった。その日の最安値にきわめて近いところ。ユーロドルのショートも持っているので、実質的にはユーロ円のショートを持っているのと変わらないことになる。

 さて本日のアジア市場ではレベル7に対する反応は鈍く始まった。日本株もほとんど落ちていない。目に見える形でのリスク回避は起こらなかった。9時前に84.35あたりまで突っ込んだドル円も、切り返しての東京オープンとなった。とりあえず急いで利食いをする理由もなかったので、私は84.80でストップ注文をおいておいた。

 目立って動きだしたのは東京のランチタイムである。原子力安全保安院がレベル7の説明の会見が始まったころであった。ドル円は84円ちょうどを割り込むにはちょっとだけ躊躇したが、いったん割り込むとユーロ円の売りも巻き込んで、下げのペースは速まった。

 ユーロ円は2円近くも落ちた。後は株価との見合いである。株価の切り返しが確認されたら、すぐに全ポジションは買い戻しである。株価が下げ続けるならば、利食いを我慢、我慢…。しかしドル円は83円台の中盤までは突っ込んだが、そもそもこれは円売りの材料でもあるのだ。“日本売り”による円売りに、いつ変わっても不思議ではない。ユーロ円ベースで2円近くも取れたと思って、私はすべてのポジションをクローズした。

 今朝のアルコアの決算が米企業の本格化を告げるはずであったが、注目度は完全に薄くなってしまった。今晩はアメリカの貿易収支などもでるがあまり重要視されないだろうし、企業決算でもおおどろこはない。午後にも大きな地震が東北地方であったようだ。地震と原発から目が離せない状況が、今しばらくは続くような感じだ。


日本時間 18時20分
 


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