■コモディティの下落は資源国通貨に対する売り圧力に
コモディティ価格の下落は、資源国通貨の豪ドルに売り圧力をかけています。現執筆時点で、豪ドル/米ドルは1.0480ドル近辺で軟調に推移しています。
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先週のECBの利上げ決定を受け、ユーロは対豪ドルでも一時急騰していました。
そのユーロクロスの影響もあり、ユーロ/米ドルは1.44ドル台ミドルを保っていますが、原油価格の反落はユーロ/米ドルの上値も徐々に重たくしています。
ECBが追加利上げを検討している背景にあるのは「インフレ」です。
しかし、商品市場がこのまま調整に入るのであれば、ECBが6月もしくは7月に追加利上げを行う必要性が薄れてきます。
■原油価格反落とともに、ユーロ/米ドルも調整局面入りか?
さて、4月12日(火)に始まった「商品市場の調整=クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の下落」ですが、米ドル/円を見ると、83円台は海外勢から断続的に「米ドル買い」が入るため、下げ渋っています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
結果として、ユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルの上値を徐々に重たくしているようです。
ECBの利上げ予測を背景に上昇を続けてきたユーロ/米ドルですが、原油価格の反落とともに、調整局面に入る可能性が高まってきました。
友人のヘッジファンドも、ユーロ/米ドルの反落に備えて、短期の「EUR PUT(※)」でヘッジを考えているようです。
ユーロ/米ドル、ユーロ/円のメイントレンドは依然としてアップサイドであるため、大幅な調整は考えにくいです。
ただ、仮に1.4300ドルを割りこむようなことがあれば、1.40ドル台前半まで「dip(ディップ)」する可能性もあるのではないでしょうか?
(※編集部注:ある金融商品を将来の一定の期日までに、あらかじめ決め られた権利行使価格で売る権利を売買するオプション取引のこと。この場合はユーロを売る権利)
■ユーロ/米ドルの調整のメドは?
ちなみに、世界最大のcurrency hedge fundである「FX Concepts」を率いるジョンテイラーさんも、ユーロ/米ドルが1.45ドル近辺でいったんtop outするとのレポートを出しているようです。
彼は3月のBloombergとのインタビューで、ユーロ/米ドルは1.4500ドルまで上昇すると述べていました。
1.4500ドルは彼の目標値であったため、ここから調整に入ると考えているわけです。調整のメドは1.4150ドルで、下落に勢いがつけば1.3975ドルまでの調整もあり得るとコメントしています。
ただ、仮に反落しても、その動きは調整でしかなく、ユーロ/米ドルに対する強気な見方は変えていないとのことです。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
この原稿を執筆している最中もクロス円は下落しており、ユーロ/円は120.20円まで下落しています。一時は、ユーロ/米ドルも1.4408ドルまで値を下げています。
今週後半は、商品価格の動きとユーロ/米ドル、加えて資源国通貨の豪ドルの動きに注目ですね。
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