昨日の為替相場は、前日のFOMCを受けての動きで始まった。バーナンキ議長が米国の景気のスローダウンを再確認する形になったので、マーケットではリスク資産からの逃避が急がれるところだ。アジア時間からグローベックスでは米国株は軟調。今週に上げてきた分を吐き出して、なおも安値模索が続いた。
それに従う形でクロス円はひたすら値を切り下げた。115円台だったユーロ円が、ニューヨーク市場では113円台入りしている。私はユーロドルとドル円の両方をショートに構えていたので、ユーロ円の下落は喜ばしい。米国株の下落を見ている限りは、まだ安心して持っていられるポジションだ。
ところでリスク回避を促した要因は別にもあった。夜の10時過ぎの発表だったと思うが、IEAが持っている戦略備蓄の原油を市場に吐き出すと言うのだ。これはアメリカのQE2によって余分のマネーが流れ込んだことによるコモディティ高の是正に寄与することだ。ちょうどFRBがQE2の終了を宣言した翌日に行うというのも、効率的に無駄がなくてよい。
でもこれでFRBは完全にさらなる金融緩和を打つという手法は、道を閉ざされたことになる。とにかく原油相場は軟化し、原油価格は90ドルの大台を割り込む局面もあった。原油安のせいもあってリスク回避はいっそう強まり、米国株もディップを広げていった。
たまたま早起きして画面を見ていたら、朝の4時前だったろうが、いきなり米国株が上がりだした。為替相場でもユーロが買い戻されている。何が起こったのはわからないが、私はとりあえずユーロドルのほうを買い戻し。それからニュースソースを調べにいくと、ギリシャがEUやIMFと、債務削減の合意に至ったというのだ。まだ内容の詳細は不明であったが、とにかく信用不安にとっては一歩前進のようだ。
ニューヨーククローズまでもう時間がない。米国株は必至の思いで買い戻されて、この日の大幅な下落分はすべて埋めた。ユーロドルも1100ポイント以上も戻して終了した。アジア時間になっても、この流れは続いているので、またユーロドルを売り直そうと思っていたのだが、いまのところ手が出ないでいる。
今晩はこのギリシャの情報の確かさと、それをマーケットがどう消化するかに関心が集まるだろう。欧州初のコメントなども見たいところだ。前向きに解釈されてよさそうなものであれば、ひるがえってユーロロングで構えてみてもよい。しかし実際には良い案件やアイデアがあるならば、もうとっくに出ているはずである。大したものを期待できないというのが実情だろう。
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