■流動性供給は「時間稼ぎ」に過ぎない
G20が協調行動に出たということは、各国が欧州の債務問題に対して危機感を共有していることをマーケットに伝えたことになります。
その意味では、今回の行動は効果的であり、マーケットは一定期間、沈静化するでしょう。
つまり、当面は「株高」「米ドル安」が続き、11月に10円近くも暴落した豪ドル/円や新興国通貨のブラジルレアルは急落を止められると思われます。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 4時間足)
しかし、欧州の債務問題の解決のメドがたったわけではなく、日銀の白川総裁も会見で、この流動性供給は「時間稼ぎ」であると強調しています。
■12月9日のEU首脳会議にマーケットの注目が集まる
2008年秋のリーマン・ショックの当時を振り返ってみると、主要中銀の資金供給の後、数日間は「株高」「米ドル安」となりましたが、その後は株価が反落しています。
また、このところの2カ月間も、当局の対応に対する期待感から「risk on」となって値を戻しますが、抜本的な対策が出てこないとなると、一気に「株安」「米ドル高」となる流れが続いています。
したがって、今回も当局の対応によって数日間は株価が安定し、リスクアセット通貨の豪ドル/米ドルや、NZドル/米ドル、加えて、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルといったところは底堅い展開が予想されます。
ただ、白川総裁の言葉ではありませんが、これは調整の域を出ません。
本格的に「株高」「米ドル安」「ユーロ高」のマーケットに戻るためには、ユーロ圏の抜本的な対策が待たれるところです。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足)
その意味では、来週12月9日(金)のEU(欧州連合)首脳会議が注目されます。
この会合で、ユーロ共同債の具体的な導入計画など、抜本的な対策が決まるかに注目が集まっていますが、具体策が提示されなければ、ユーロ圏の崩壊すら現実味を帯びてきます。
12月に入ってマーケットに戻ってきたヘッジファンドも、このEU首脳会議の行方に注目しているようです。
来週は重要な相場となりそうです。
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