中国人民元の1日の変動幅が上下1.0%に拡大!
中国人民銀行(中国の中央銀行)は2012年4月14日(土)に中国人民元の米ドルに対する1日の変動幅の制限をこれまでの上下0.5%から、上下1.0%に拡大すると発表した。この措置は4月16日(月)から実施される。
中国人民元は複数の通貨から構成される「通貨バスケット」に対する変動幅を制限する「管理変動相場制」を取っていることになっているが、「通貨バスケット」の中身は公表されておらず、その大半はどうも米ドルになっている模様だ。
そのため、管理されているのは、事実上、中国人民元の対米ドル相場となっている。
中国人民銀行は米ドルに対する中国人民元の基準値を毎朝、設定しており、今後はこの基準値に対して、1日に最大で上下1.0%為替相場が動く可能性があるということになる。
中国人民元の対米ドル相場と対円相場の違いに注意
中国人民元は2008年7月から2010年6月まで、米ドルに対して事実上の固定相場制をとっていた。2010年6月にこれが解除されると、中国人民元は米ドルに対して、ジリジリと上昇し、これまで約8%程度上昇している。
中国人民元は割安であり、まだまだ上昇するという見方が多いようだが、一応注意しておくべきは、変動する幅は“上下”1.0%と発表されており、必ず上昇するとは決めつけられないことだ。
また、大方の見方のとおり、中国人民元が米ドルに対して上昇していったとしても、円に対して上昇していくとは限らないことにも注意が必要だ。
これは「通貨バスケット」制が採用されているといっても、前述のとおり、本当に管理されているのは事実上、中国人民元の米ドルに対する為替相場だからだ。そのため、中国人民元の対円相場は結局、米ドル/円相場の影響を大きく受けてしまうのである。
FXで中国人民元を取引するには?
このように特殊な為替のしくみとなっている中国人民元だが、今後の注目通貨の代表的存在であることは間違いない。
【参考記事】
●著名投資家ジム・ロジャーズがザイFX!に語った21世紀の最強通貨とは?
●松田哲さんの人民元相場大予想! 第2のプラザ合意で1ドル=2元割れが来る!?
では、FXで中国人民元を取引するにはどのような手段があるのか?
特殊な通貨だけになかなか取引しにくい中国人民元だが、日本の個人投資家でも取引できる環境が少しずつ開けてきている。
2011年8月にはFXの取引所取引である「くりっく365」へ中国人民元/円が上場された。「くりっく365」に参加しているFX会社なら、中国人民元/円が取引できるわけだ(※)。
また、それ以前からSBI証券では中国人民元/円が取引できた。
(※「くりっく365」に参加しているFX会社でも、取引できない会社も一部ある)
【参考記事】
●「くりっく365」へ人民元/円などが上場。人民元/円は売るとスワップがもらえる!?
●人民元/円の売り買い両建てでスワップ金利をタダもらいする方法
●FX会社おすすめ比較:中国元が取引できるFX会社はここだ!(中国人民元/円が取引できるFX会社の一覧)
そして、サクソバンクFX証券と、サクソ系(SAXO系)のシステムを採用しているkakaku FXでは2011年9月から米ドル/人民元が取引できるようになっている。
【参考記事】
●着実に儲かる夢の通貨ペアなのか? サクソ系で米ドル/人民元の取引開始!
相対的に低金利の円を売り、相対的に高金利の中国人民元を買ったとしても、スワップ金利がプラスになるとは限らないなど、人民元の取引にはいまだ特殊な点がある。
とはいえ、1日の変動幅が拡大するなど、中国人民元が“普通の通貨”に近づいていけばいくほど、取引もしやすくなっていくのではないだろうか。
利益を上げるチャンスを逃さないためにも、中国人民元の関連情報は丹念にウオッチしておきたいところだ。
(ザイFX!編集部・井口稔)
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