昨日の海外市場では、アメリカが半日営業ということもあり、かなり静かで小動きなものになると予想された。確かにドル円はほとんど動かなかったが、ユーロドルやユーロ円のほうは、途中からリスク許容度の増大からユーロ買いが盛んになり、ニューヨーク市場がアーリークローズする時点では、もっとも高いレベルまで達して、翌日のアジア市場を迎えるまでに至った。
欧州株は欧州序盤から値を飛ばしていたのでわかるが、米国株が本格的に一段高へと向かったのはニューヨーク時間になってからである。マーケットが薄いといえばそれまでのことなのだが、このリスクテークの勢いには異常なまでの期待感が込められているように思えてくる。
今晩はアメリカが独立記念日で休みなので、アメリカ発の材料はない。動き出すのはやはり明日の夕方からということになろうが、とくに期待されているのは欧州の金融当局の動向である。イギリスは1カ月以上も前から消費者物価などインフレ指標の落ち着きなどを理由に、金融緩和をするだろうという観測は台頭していた。また足元の生産系の経済指標も悪くなっているのだ。
それゆえにユーロが全面安を続けてきたなかでもユーロポンドだけは下げ止まり、ユーロ安よりもポンド安のほうが上回るくらいとなった。ユーロ安が問題視される中、ひそかに進んだポンド安も、過度の金融緩和への期待が込められている。事実、先週のEU首脳会議からユーロドルは300ポイント近くも値を戻してきたのに、ポンドドルの上げは鈍い。
またECB(欧州中銀)もインフレを警戒しながらとは言いつつも、やはり今週の理事会で利下げを強いられる形となっており、短期金利の先物ではすでに25ベーシスの利下げまでは価格に織り込まれている状態だ。EU会議の場で景気刺激策なるものを提示した以上は、金融当局のほうも何かアクションを起こすだろうと多いに期待されても仕方のないところだ。
それを反映しての欧州株の上げは、今週に入ってから顕著ものがある。本来ならばリスクテークということで、もうちょっとユーロも急上昇して、ユーロドルなどは1.30台乗せでもしてもよいはずなのだが、やはりユーロ自身の利下げの話なので、これ自体はユーロ売り材料ともなっている。
まあ、勝負は明日であろう。今晩の為替相場は動きそうにもないし、よほどの想定外の材料でも飛び出さないと、誰も取引を望まないであろう。私も今夜はPCの画面を見ないで、早々と寝入ることにしたい(笑)。
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