昨日の海外市場ではどの相場も小動きなものが多かった。先週の木曜日のドラギ総裁の発言以来、かなりリスクテークをしてきていたのだが、ここに来て一服というところか。米国株はオープン直後に高値追いをしたが、短時間で息切れし、クローズ時には前日の終値とほぼ変わらず水準で引けた。
原油価格は90ドル台にまで戻して来てはいたのだが、徐々に90ドル台で重さを感じるようになってきた。ここからさらに上攻め、すなわちリスクオンの方向に進むには、実際の追加緩和が行われるとか、ドル安が顕著に進むなどといったさらなる材料を欲している感じがする。
また株高が進んだおかげで安全性の必要度が薄まって、価格が下落していた米国債やドイツ債も、昨日は再び値上がりした。これはあまり期待だけでどんどんリスクテークをしていくことに対する戒めのようでもある。ここ4日間で下落した分の、ほぼ半分を取り戻している。まだまだ安全志向のヘッジ保有の需要は高いようである。
そういった外部環境を反映してか、為替相場でもユーロが上がらなくなってきた。昨日の海外市場ではユーロドルは1.22台だけに留まった。1.23台をトライするような局面はあったものの、すでに何度も戻していただけにフレッシュな買い戻しのストップ注文は存在しないに等しいので、1.2300の壁を突破することをたじろいでいる。
期待ベースで上げてきただけに、値上がりのペースを止めてしまったユーロは魅力が薄くなる。それはユーロクロスに顕著に出ており、とくにユーロ円は97円台だったものが、いつしか95円台まで押し返されている。ここまで来ると今年の最安値の94円台の前半の方が、近くなってくる。ユーロポンドも0.7800をはさんでの行ったり来たりで、これも0.77台に入って定着しようものならば、いつ今年の最安値を更新しないとも限らない状況である。
私は月末ということもあり、格別な値動きでもない限り、今晩までは積極的に手を出したくはないと考えている。ユーロドルが1.22台にいる間は、そのままでいてくれるだけでよいし、レンジ相場だからといって逆張りを仕掛けるのも我慢している。スケジュール的にもマーケットが忙しくなるのは、明日の夜中のFOMCからであろうし、いちばん盛り上がるのは明後日のECB理事会の前後だろう。
また今回は、BOE(英中銀)の理事会も注目である。もちろんBOEが何かをするのではなく、ここ2回連続で同じ時間に中国が利下げを行っているからだ(笑)。我々トレーダーの夏休みはまだまだお預けのようである。
今晩の注目はアメリカの景況感である。CB信頼感とCAPMが出る。しかし最近はセンチメントが悪くなっているというのがコンセンサスになっているので、多少、悪くてもマーケットは反応しないだろう。やはり期待ベースで大きく上げてきた米国株や欧州株の動向のほうが大事だ。
これが少なくとも今晩までは保つのかどうか。何かの発言によって株価が下げ始めたら、明日を待たずに巨大なリスク回避の流れができそうである。そうなったら私も問答無用にユーロ円かユーロドルでも売り込んで参戦する。0時まで待ってみて、同じような水準でやっていたら、取引はあきらめて寝ることにする。
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