ザイFX! - 初心者必見のFX総合情報サイト

西原スーパーバナー
----年--月--日(-)日本時間--時--分--秒
西原宏一・叶内文子の「FX&株 今週の作戦会議」

ユーロ/円の上昇余地が、株の動き次第で大きくなりそう!
史上最大の円ロングで米ドル/円の急落は難しく、反発に
警戒。ドイツの財政拡張案合意でユーロ/米ドルは底堅そう

2025年03月17日(月)14:47公開 (2025年03月17日(月)14:47更新)
西原宏一&叶内文子

波乱の「日経平均」や「NYダウ」の下落局面も収益チャンスに! 話題の「VIX指数」も取引できる【CFD口座】を比較!

S&P500は4週連続の下落で、直近高値から-10%超えも、週末は大きく反発

西原宏一(以下、トレーダー西原)叶内文子(以下、MC叶内) みなさん、こんにちは。

トレーダー西原 先週(3月10日~)米国株市場が荒れたため、為替市場も非常に神経質な動きとなっています。

 まず、その米国株を振り返ってみましょう。叶内さん、お願いします。

MC叶内 はい、わかりました。

 週間ベースでS&P500は-2.27%。4週連続の下落となりました。直近⾼値からの下落率が調整局面入りの目安である-10%を超えました。ハイテク大手への売りも続き、ナスダック総合指数も4週連続で下落しました。

 週をとおして、貿易戦争激化と米景気懸念で不安定な展開となり、引き続き、二転三転するトランプ大統領の関税に関する発言に翻弄されています。

 また、トランプ大統領はTVのインタビューで、米国が景気後退に陥る可能性について質問され「過渡期」だとして景気後退を否定しなかったことで、米国株が急落。「恐怖指数」VIXが一時29台まで上昇しました。

 米CPI(消費者物価指数)・PPI(卸売物価指数)でインフレの鈍化がみられたものの、関税の影響はこれから出てくるとして、市場は良い反応を見せませんでした。

 ただ、ウクライナ停戦に向けて進展が期待されること、米政府機関閉鎖が回避される可能性が高まったこと(その後回避されることが決定)などで、週末は大きく反発しています。

 ミシガン消費者信頼感指数が悪化、期待インフレ率が上昇していたにもかかわらず、S&P500とナスダック総合指数の上昇率は大統領選挙翌日にあたる昨年(2023年)11月6日以来の大きさです。

 S&P500がほぼ全面高で5日ぶりに陽線を引き、マグニフィセントセブン(※)もすべて上昇となりました。これが転換点となるとの期待の声も聞かれました。

(※マグニフィセントセブンとは、米株式市場を代表するテクノロジー企業であるアルファベット、アップル、メタ、アマゾン、マイクロソフト、テスラ、エヌビディアの7社を指す)

 日経平均は165円(0.4%)高の3万7053円と、4週ぶりに上昇しました。米国株の動きや為替を見ながら波乱に見舞われ、一時3万6000円台を割り込む場面もありました。週末は前週末とほぼ変わらず、週足は長い下髭のトンボのような形で、こちらも底堅さが出てきたと評する向きもありました。

 為替市場はいかがでしたか?

★ザイFX!で人気の西原宏一さんの有料メルマガ「トレード戦略指令!」では、タイムリーな為替予想や実践的な売買アドバイスなどをメルマガや会員限定ウェブサイトで配信! メルマガ登録後10日間無料です。

米国のスタンスから当面米ドル安・円高は避けられず。 ただ、短期筋が史上最大の円ロングで、反発を警戒

トレーダー西原 為替市場も米国株の影響を受け、リスクオフのモメンタムで始まったのですが、マーケットが注目したのが投機筋の円買いが過去最大になっていること。

先週の「ヘッジファンドの思惑」コラムでもご紹介させていただいていますが、投機筋の円ロングが増えていて過去最大となっています。

【※関連記事はこちら!】
米ドル/円は安値を売らず、忍耐強く戻り売り継続か。日米為替論争が関税交渉に利用されれば下落トレンドは継続も、投機筋の円買いが史上最大で突然踏み上げられる可能性(3月13日、西原宏一)

 3月4日(火)時点で、IMM(国際通貨先物市場)の円ロングポジションは13万3651枚(約1兆6700億円)と、前週(2月25日)からおよそ4割増え、1992年10月以来で過去最大を更新しています。

 そのため、マーケットがリスクオフに傾斜していても、米ドル/円は下げきらず、逆に一時149円台まで反発しています。

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足チャート

(出所:TradingView

米国は「日本が通貨安政策を取るなら米国は関税措置を講じる」というスタンスであるため当面米ドル安・円高は避けられず

 ただ、短期筋が史上最大の円ロングになっている現状では、反発を警戒せざるを得ません

 ユーロに関しては財政パッケージにおいて、メルツ次期ドイツ首相が「緑の党」と合意に達したため、懸念材料がまた一つ減り、底堅く推移しています。

ユーロ/米ドル 4時間足
ユーロ/米ドル 4時間足チャート

(出所:TradingView

 今週(3月17日~)は中銀ウィークですね。相場展望の前にまずそれをチェックしましょうか?

MC叶内 はい、では今週のスケジュールを確認します。

 中銀ウィークですが、具体的には3月19日(水)に日銀会合(日銀金融政策決定会合)、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果発表があります。

 ほかにも3月20日(木)に英国、スイス、スウェーデンの中銀が政策金利の発表を予定しています。中国の事実上の政策金利である最優遇貸出金利も、3月20日(木)に発表されます。

 FOMCの結果発表は日本時間で3月20日(木)になりますが、その日は春分の日で日本株は休場です。

 経済指標では、3月17日(月)に米国2月小売売上高、3月NAHB 住宅市場指数、3月18日(火)に2月住宅着工件数と鉱工業生産、3月20日(木)に2月コンファレンス・ボード景気先行指数が発表されます。

 中国では、3月17日(月)に2月鉱工業生産、小売売上高、不動産開発投資、1~2月固定資産投資がまとめて発表されます。

 国内では3月19日(水)に機械受注統計、3月21日(金)に2月全国消費者物価指数が発表されます。

 注目は米小売売上高です。市場では前回1月分の落ち込み(-0.9%)は関税適⽤前の駆け込み需要の反動とみられ、今回は+0.7%へと大幅反発を予想しています。

 メーカー発表の自動車販売台数は+2.6%と伸びていました。一方、ガソリン価格が下落している分は下押しになります。

 1月の値上げラッシュは通過しましたが、このところのソフトデータでは消費者心理が悪化していることが確認されており、除く自動車での反発は限定的と見られています。

 米小売売上高のなかの唯一のサービス項目である飲食サービスが、1月は寒波の中でも+0.9%と加速していました。2月もプラスが続いたか注目しています。

 今週の株式市場は、突発的なニュースが無ければ中銀の決定待ちで、様子見で始まりそうですが、メジャーSQ(※)を通過し、配当や優待の権利取りの動きがありそうで、戻りを試す展開が期待されています。

(※編集部注:「SQ」とは日経225先物などの株価指数先物や株価指数オプションといった取引の最終決済を行なうための価格のこと。株価指数先物は3月、6月、9月、12月の第2金曜日、オプション取引は毎月第2金曜日がSQ算出日となっている)

 関税については一喜一憂してきましたが、どうやら米国が手を緩めることはなさそうだと、市場は覚悟を決め始めたのかもしれません。

 政局への「期待」もあるそうです。石破首相による自民党議員への商品券配布問題で首相交代も意識されるとか。高市トレードの思惑というのは、だいぶ前のめりだと思いますが…。

 そして、3月19日(水)にはJX金属が上場します。東京メトロを超える大型IPOなので需給的な動きがあるかもしれません。

株式市場は、日銀は現状維持と見ていますが、植田総裁が会見でどんな姿勢を示すのかが注目です。FOMCも据え置き予想ですが、ドットチャートやパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長会見で今後の方向性を見定めたいところです。米国版SQを週末に控え、短期的な急変動はあるかもしれません。

 為替市場はいかがですか。

★ザイFX!で人気の西原宏一さんの有料メルマガ「トレード戦略指令!」では、タイムリーな為替予想や実践的な売買アドバイスなどをメルマガや会員限定ウェブサイトで配信! メルマガ登録後10日間無料です。

米ドル/円の急落は難しく、ユーロは底堅い動きが続いているため、ユーロ/円の上昇余地が大きくなるかも

トレーダー西原 叶内さんがご紹介した主要中銀会合ですが、多くの中銀でサプライズな動きはなしと見ています。

 警戒しているのが木曜日(3月20日)のSNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])です。

 その理由は、SNBが昨年12月12日(木)に0.50%の利下げを実施し、マーケットを驚かせたこと。

 我々は0.50%の利下げをする可能性が高いと想定していましたが、マーケットのコンセンサスが0.25%の利下げだったため、大幅利下げにショックを受けた展開となっています。

 前回の大幅利下げ以降、スイスのインフレはSNBの予想どおり緩和し、スイスフランは下落しています。

 そのため、SNBは3月20日(木)に0.25%の利下げを行い、政策金利を0.25%にするというのがコンセンサス。

 金利先物市場では76%が0.25%の利下げを予測しており、欧州の友人も0.25%の利下げ予測とコンセンサスどおりです。

 この意味ではサプライズはないのですが、仮に今週も世界的な株価の下落が沈静化しなかった場合、避難通貨であるスイスフランに想定以上の上昇圧力がかかる可能性があります。

 その場合には、SNBにはゼロ金利まで利下げする可能性が取り沙汰され、マーケットが荒れる可能性も残しているため要注意です。

 米ドル/円に関しては多くの参加者が弱気なまま。

 その理由は先週、ベッセント財務長官が「最近のドル下落は自然な『調整』だ」と述べ、懸念していないとの考えを明らかにしたことも影響しています。


ベッセント長官、最近のドル相場下落は自然な「調整」-懸念を否定
ベッセント米財務長官は最近の市場でドルが下落しているのは自然な「調整」だと述べ、懸念していないとの考えを明らかにした。新たな経済シグナルと政策が相次ぐ中、トレーダーらが様子見の姿勢を取っていると指摘した。「トランプ大統領の当選と共和党の大勝利を受けて、ドルは多くのことを織り込んだ」とベッセント長官は13日、経済専門局CNBCとのインタビューで発言。「調整されるのは自然なことだ」と述べた。
(出所:Bloomberg)


 この米財務長官のコメントが、多くのマーケット参加者の米ドル/円での米ドル弱気のスタンスを後押ししている形。

 ただ、前述のように短期筋が史上最大の円longのまま。これでは米ドル/円が急落するのは難しい。

 ユーロに関しては底堅い動きが続いているため、株の動き次第では、ユーロ/米ドルではなく、ユーロ/円のほうが上昇余地が大きくなるかもしれません。

 ユーロ/米ドル、ユーロ/円の動向に注目です。

ユーロ/円 4時間足
ユーロ/円 4時間足チャート

(出所:TradingView

トレーダー西原MC叶内 それでは、今週も株、為替のトレードを楽しんで行きましょう。


【ザイFX!編集部からのお知らせ】

 ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)です。

西原宏一のトレード戦略指令!

「トレード戦略指令!」は登録後10日間無料解約可能なので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。

人気のザイFX!限定タイアップキャンペーンをPickUp!
FX初心者のための基礎知識入門
ザイ投資戦略メルマガ 人気FX会社ランキング キャンペーンおすすめ10
ザイ投資戦略メルマガ 人気FX会社ランキング キャンペーンおすすめ10
『羊飼いのFXブログ』はこちら
↑ページの先頭へ戻る