■「ユーロ崩壊」と「米ドル高への懐疑」は両立しない
非常に矛盾しているが、ちまたでは多くの論者が「ユーロ崩壊」を信じてやまない一方、米ドルの全面高にも懐疑的である。
双子の赤字とか、財政の崖といった構造的な問題はもちろん、バーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長はQE3どころか、QE4(※)も打ち出している。
よって、米ゼロ金利が2015/16年まで続くと予測されるが、そんななかでは米ドルの全面高はとても想定しにくいだろう。
ファンダメンタルズ派アナリストたちの話を聞けば聞くほど「不安だ」となりがちで、すべて悲観的な見方になってしまう。
ただし、先に述べたように、ユーロ崩壊を信じるなら、その対極としての米ドルは当然高くなるから、ユーロ崩壊論を信じる一方で、米国のファンダメンタルズを持ち出して「米ドル高があり得ない」という論理は矛盾しているし、相場の基本を理解していないということになる。
(※筆者注:「米金利水準」を「米失業率や米インフレ率」に連動させて決定する政策はQE4と呼ばれている)
■ドルインデックスから読み取れる米ドル高へのトレンド転換
「相場のことを相場に聞く」なら、「米国はたび重なる量的緩和を実施し、深刻な構造問題を抱えているにもかかわらず、ドルインデックスが2008年3月安値を下回っていない」ことがサインとして読み取れるだろう。
つまり、米ドル安トレンドは最終段階にあり、2013年のどこかの時点で米ドル高トレンドへ転換し、さらにそれは何年間も続く大きなトレンドとなるであろう。
2012年10月にセミナーで使用したチャートを以下に掲載するので、イメージをつかんでいただきたい。
(出所:米国FXCM)
注意していただきたいのは、上のチャートで2008年安値から引かれたトライアングル型フォーメーションは、1987~95年に形成されたトライアングルの保ち合いパターンと近い、16/17年サイクルの最終段階を示唆するフォーメーションである可能性が高いことだ。
したがって、すでに3回底打ちを果たしたドルインデックスで、これから4回目の底打ちが形成されれば、ドルインデックスが本格的に米ドル高トレンドに転換し、米ドル高トレンドという新紀元の幕開けを告げるだろう。
ファンダメンタルズ上の「不安だ」についてだが、筆者が常に主張しているように、相場の真実とは値動きが先で、材料が後を追って発生するもので、米ドル高トレンドへの転換が果たせれば、こういった「不安だ」は解消されるか、解消されなくてもマーケットのテーマとして語られなくなるだろう。
その上、米ドルにとってプラスの材料が多くみられるだろう。現時点で一番あり得るのは…
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