昨日から米国市場は夏時間に入った。これでちょっとは夜のマーケットに参入する時間も延びたというものだ。しかし昨日はあまりイベントがなかった。本来であれば先週末の雇用統計をうけて大いにリスクテークで盛り上がったマーケットの流れを確認する一日となるかと期待された。
しかしアジア時間から欧州時間にいたるまで相場は小動き。ドル円は重くて、96円ちょうどを割り込むかどうかのきわどいところで小さい値動き。ユーロドルも主体的に動くような材料に巡り合えず、1.3000をはさんでの小動きに徹していた。
夕方に安倍首相が会見したが、マーケットに関することといえば「金融緩和はハイパーインフレを引き起こさない」というだけ。市場にはノーインパクトだった。気になる発言があったのは経団連からのコメントだ。「円安のペースが速すぎる」というものだ。
円安が進んだおかげで輸出企業が、すなわちドルのアセットをたくさん持っている企業が潤ったのだから、現状の倍のペースでもいいのではないかと思えるのだが、そこは立場的には団体の代表だから円安によってダメージを直撃している企業にも気を使わないと行けないということなのだろう。
過去を振り返ってみても、円安が進むと経済団体などから注意を喚起するコメントが出てくる。円安が嬉しいならば放っておけばよいのにと思うのだが、不思議なことではある。1997年から98年の金融不況のときにはドル円は147円まで上がった。140円を越えてきたあたりから、「円安はなんとかしろ」との大合唱が始まった。このときは悪性の日本売りの一面もあったので、円売り回避が急務であったのだから仕方がない。
しかし2011年にニューヨークで飛行機が落ちたときは完全にドル売りになりかけたところを、為替介入で円高になるのを防いだものである。このときは米国株は年末までにテロ以前の株価水準よりも高くなってしまい、ドル円も115円台まで落ち込んでいたものが136円台まで反発。そしてこのときも130円を越えたあたりから、円安を懸念する意見が多発してきた。
近いところでは2006-07年のにわかラリーで125円台まで上がったときも財界は注意を促した。円高だと文句ばかり言っているイメージが強すぎるために、円安方向での注意喚起には十分に気をつけなければならない。そして事実、過去10年、20年はそこで円相場が折り返してもいるのだ。気には留めておくべきことではあろう。
まあ、そうは言っても目の前の相場に対して、すぐにそうなるわけでもないので、あまり拘っていると何もできなくなってしまう。また短期トレードには無縁なことだと思ってかからないといけない。現実、そうした発言があってもドル円が下げに転じることはなく、昨日のニューヨーク株が今年の最高値を幾分でも越えたことによって、今朝は仕掛け的な買いが入って、雇用統計でつけた高値である96.54を上回ってきてもいる。
だが朝がたに96.70の高値を付けた後は、売りものがち。今夜もここ毎日続く作戦で行くしかなさそうだ。というのは、グローベックスセッションにおいて米国株が今年の最高値を越えてきたら、ドル円はどんなに高くても買っていく。更新するまではドル円の高値である96.70のちょっと外側に買い戻しのストップ注文を置いて、逆張りのショートをどこかで仕込む。これで臨むしかなさそう。
日本時間 15時40分
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