昨日は日本がお休みだったが、休み前にキプロスがおかしなことになってきたので、マーケットからは目が離せない。EUからの支援の条件として付されている預金課税の法案を議会が否決したのだから、その後の市場の混乱はどの程度のものになるのか。キプロスの経済の規模としては、スペインやイタリアのほうが断然と大きく、欧州の中では小さい。
しかし問題なのは今回初めて出てきた預金課税だ。つまり人のフトコロに直接に手を突っ込むということだ。そして問題が解決されるまでは銀行取引などが停止されてしまっているのだから大変だ。なかには事業資金のように決済に当てなくてはいけないものも含まれていようし、また善良な将来の蓄えでもあったはずである。普通の市民の怒りはとても理解できる。
そもそもキプロスは国の規模以上に金融取引に手を広げ過ぎている観がある。そして手法もマネーロンダリングとまではいかないものの、タックスヘブンを標榜している節もある。ドイツのメルケル首相が「ビジネスモデルが間違っている」といっているのは的を得た発言ではある。
そうした身の丈に合っていない資金を追い出すべきだという思惑が大陸欧州の側にはどうやらあるようだ。そしてこれにダイレクトに影響を受けるとされているのがロシアである。預金の3割強がロシア人の資金という話しなので、ロシア当局が乗り出してまでキプロスを支援するかどうかが注目されているというわけだ。
昨日のアジア時間ではこれからどうなるかわからないということもあり、ややリスク回避で進んだ。ドル円は94円台の後半から95円台に乗せてもやっとという感じ。ユーロドルも下がらないとはいえ、1.28台のままだ。しかし欧州序盤ではリスクテークで始まった。
ドイツ株はストロングにスタートし、それで安心したものか、数字のついたものが何でも高くなった。ユーロドルは1.29台を回復し、ドル円も堅調。いつもの危機と同じで、その後の巻き返しで元のレベルをも越えてくるということかもしれない。キプロスショックがあったというのに、日経先物も大きく値を戻してきて、休み前の水準をも上回ってきている。グローベックスでの米国株は完全に値を戻して、今年の最高値に再チャレンジの体制となっている。
こうなると下を売っていったプレーヤーがいることを考えると、ちょっと下押しはしにくいだろう。どこまで上がるかわからないが、わたしもユーロ円を少々買ってみることにした。朝がたは122円台の前半だったのに、私が買ったのは123.04だった。まあ、仕方がない。25ポイントリスクの50ポイント狙いでいこう。
欧州時間にトリッキーで激しい動きをしたのはポンドであった。経済指標に加えて、オズボーン財務相がいろいろと発言したことで、ポンド金利の将来の見方が分かれたからであり、ユーロポンドは50ポイント幅で急上昇したり、急落をしたりした。相変わらずポンドは悪魔ぶりを発揮している(笑)。その間もユーロドルが堅調だったので、うまいこと私のユーロ円ロングは利食うことができた。しかし米国株は高値追いをやめておらず、まだまだ上がありそうだ。
FOMCでは何も変更がないのはわかっていても、緩和の継続に関する何かが出てくるのではないかとの期待もあって、ニューヨーク市場では早くも様子見姿勢に入った。私も早起きして参加したいところなのだが、早朝から仕事があるので相場は見送ることにした。結局、バーナンキ議長は雇用環境の改善は認めながらも、金融緩和を維持することを明言。
あまりインパクトはなかった。米国株は確かに上がったが、それはすでにニューヨークオープンまでに上げてしまったポーションのほうが大きく、ニューヨークのコアタイムでは小動きだったと言ったほうが正しいようだ。だが新聞の早刷りで黒田総裁が大胆に金融緩和をやっていくと載ったことがあって、円売り圧力が強まった。ドル円は96円台に乗せてきて、ユーロ円は124円台まで戻してきた。
さて今晩の注目材料は、やはりキプロス問題である。またその前に夕方の18時から黒田新総裁の就任会見もある。黒田氏は積極的な緩和策を述べると見込まれており、それ自体は想定の範囲内なのだが、マーケットのほうが過敏に反応してしまうかもしれない。
ドル円96円台に乗せてきた以降はちょっともたついているが、すでに今年の最高値である96.70も視野に入ってきており、予断を許さない。そうした緩和の方向からの円売り材料と、キプロスに要因のあるリスク回避での円買いが交錯することを覚悟して、是々非々で相場に臨みたい。
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