■日本の消費税引き上げと欧米投資家の日本投資引き揚げ
日本では、前述のシリア問題より重要なことが差し迫っています。
それは、決断が迫られている消費税の増税に関する問題です。
報道によると、安倍晋三首相は2013年9月9日(月)発表予定の、4−6月期の改定GDPや、次の日銀短観で消費税の増税を決定するとされています。
ただ、メディアの報道の影響もあるのですが、仮に消費税率を上げなかった場合、欧米投資家は、日本株と米ドル/円から投資を引き揚げるというのがコンセンサス。
欧米勢が日本から投資を引き揚げると、2012年12月以降、上昇してきた日本株と米ドル/円の急落を引き起こす可能性があるため、こうした意味からも、消費税を引き上げざるを得ないというのが多くの市場参加者の見方です。
ただ、1997年の橋本政権時は、前年のGDPの数字がきわめて良好だと判断して、消費税増税に踏み切ったのですが、その後デフレを誘因しています。
そのため、今回の消費税率の引き上げ時には、法人税の引き下げ、補正予算、または投資減税などがオフセットとして議論されています。
■米ドル/円は9月に100円台を回復する可能性が濃厚
しかし、安倍首相のブレーンで、内閣官房参与を務める浜田宏一・米エール大名誉教授は、「予定どおりの消費税増税は日本の景気に悪影響を与える可能性」とコメントしており、予定どおり消費税を引き上げるためには、景況感の改善が必要となります。
ただ、今朝(8月29日朝)の報道によると、浜田教授が、「1年延期し、その際は景気動向に関わらず引き上げ」と、これまでの主張と違う意見を述べられたようです。
景況感の改善のためには、シリア問題をきっかけに起こった「日本株と米ドル/円の急落」という展開は好ましくなく、どちらもじり高に推移して、たとえば、米ドル/円は半期末に向けて3桁の100円台で推移するほうが好ましいということになります。
マーケットでは、9月に入ると、本邦機関投資家が本格的に相場に参入してくるというウワサもあり、米ドル/円の95~96円台は底堅くなってきています。
消費税率の引き上げとともに、法人税や補正予算などの景気対策が決定され、アベノミクスが順調に進めば、9月の米ドル/円は、再び上値を探る展開となり、100円台を回復する可能性が濃厚です。
(出所:MetaQuotes Software社のメタトレーダー)
5月23日以降、調整局面に入っていた日本株と米ドル/円ですが、消費税を巡って、再びアベノミクスに注目が集まりそう。
資源国通貨とともに、秋相場の主役となりそうな米ドル/円にも注目です。
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