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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

巨額M&A!サントリーが米ビーム買収!
少子高齢化と円安の隠れた関係とは?

2014年01月23日(木)18:13公開 (2014年01月23日(木)18:13更新)
西原宏一

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■2014年は「資源国、新興国から先進国」へと資金還流

 みなさん、こんにちは。

2014年は「資源国、新興国から先進国」へと資金が還流するというのがマーケットのひとつのテーマ。

 その筆頭が、豪ドル/米ドル。

 豪ドル/米ドルは、2013年末から下落を続け、RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])のスティーブンス総裁のターゲットである0.85ドルまで、あと300pipsまで迫っています。

豪ドル/米ドル 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 日足

■米ドル/加ドルは、1.14ドルへ続騰中!

 この豪ドル/米ドルの急落に呼応して、2014年1月に入って続落しているのが、同じ資源国通貨のカナダ。

 1月9日(木)のコラムでご紹介させていただいた時の米ドル/加ドルのレートは、1.0850ドルの水準。

【参考記事】
対円でも対豪ドルでも対加ドルでも流れは米ドル買い! 米ドル/円は107円へ!(1月9日、西原宏一)

 その後、1.10ドルの節目の手前でもみ合っていましたが、1月22日(水)にレジスタンスをブレイクして急騰しました。

 米ドル/加ドル急騰の要因は、BOC(カナダ銀行[カナダの中央銀行])のポロズ総裁のハト派なコメント。

「カナダドルは、最近のカナダ安にもかかわらず、依然としてまだ強い」
「リスク増大ならば利下げありうる」

 RBA同様の通貨安誘導コメントです。

 カナダはG7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)に参加しているので、あからさまな通貨安誘導は慎まなければいけないというのがコンセンサスだったと思うのですが、1月22日(水)のポロズBOC総裁のコメントは、あからさまな通貨安誘導コメント。

 利下げの可能性も示唆しており、これはスティーブンスRBA総裁と何ら違いはありません。

 カナダに関しては、次回のカナダCPI(消費者物価指数)に注目。

米ドル/加ドルは、1.14ドルへ向けて続騰中です。

米ドル/加ドル 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/加ドル 日足

■米ドル/円は104円~105円の狭いレンジで推移

 一方、今週(1月20日~)の米ドル/円は104円、105円のどちらもブレイクできずに狭いレンジで推移。

 105円台のオプションからの米ドル売りがなかなか消化できず、現状105円がレジスタンスになり、上値を抑えています。

 一方、104円近辺は、本邦の「米ドル買い遅れ組」の執拗な米ドル買いに下げ渋る展開です。

米ドル/円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足

■まだ続く? 国内企業による巨額M&Aは円安要因に

 本邦からは、先週(1月13日~)、マーケットで話題になったサントリーの米ビーム社買収に絡む米ドル買いも、持ち込まれているとの噂。

サントリーの米ビーム買収、MUFGにも大きな収穫

サントリーホールディングス(HD)による136億ドル(約1兆6500億円)での米蒸留酒大手ビーム買収は、日本企業による海外企業買収意欲が衰えていないことを示す最新の例だ。それはまた、日本の銀行の自己資本基盤の強さも示している。

大阪に本拠を置くビール・清涼飲料製造大手のサントリーHDは、米国ではブラウン・フォーマン社に次いで第2位のウイスキー大手であるビームをすべて現金で買収する計画だ。手元資金のほか、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)から約1兆円の融資を受ける。関係筋によれば、サントリーは手持ちの約6000億円と、MUFGの銀行部門である三菱東京UFJ銀行(BTMU)からのつなぎ融資約1兆円を投入する見通し。

出所 WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)

 2012~2013年のソフトバンクに続き、今回はサントリーによる買収劇。

 サントリーがこのような巨額M&Aに動いたのは、少子高齢化が進む国内市場だけでは、成長が見込めないと判断したためと言われています。

 この状況は、国内の他業種も同様であり、今後もソフトバンクやサントリーに続く企業が続出する可能性が濃厚。こうした状況は、明らかに円安要因です。

【参考記事】
ソフトバンク米携帯3位買収ドル高円安!世界景気減速懸念も大幅円高には疑問?(2012年10月12日、ZERO)
孫正義氏がティファニー銀座ビルを購入!脱デフレ、円安継続でドル/円は再上昇か(2013年10月3日、西原宏一)

■注目は資源国通貨! 円安はじわじわと進む…

 米ドル/円を取り巻く状況は変わらず、上値でのオプションからの米ドル売りを消化しつつ、じわじわと円安が進むのではないでしょうか?

世界の通貨VS円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足

 主要通貨である米ドル/円やユーロ/米ドルが膠着する中、ヘッジファンド勢が目をつけているのが、前述の加ドル、豪ドルといった資源国通貨。

 引き続き、資源国通貨の動向に注目です。


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