■NZドルの下落はクロス円の行方を暗示?
目下の焦点は、何と言ってもドルインデックスが81の節目をブレイクするかどうかであろう。
(出所:米国FXCM)
前述のように、上放れを確認できれば、米ドル全体のブル(上昇)基調を一段と強化することで、ユーロのみではなく、その他の主要外貨も頭打ちする公算が高まるから、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)における円高圧力を間接的に強めることになる。
代表的な事例は、利上げサイクルにいち早く入っていたNZドルの反落だろう。
ニュージーランド準備銀行(ニュージーランドの中央銀行・RBNZ)が利上げ中止を示唆したことが引き金になったところが大きいが、本質的には5月上旬におけるユーロと同様、買われすぎの状態にあったから、これが修正される運命にあった。
また、忘れてはいけないのは、今回のNZドルの下落は、利上げを決定した後に発生していることだ。これは利上げの事実そのものより、今後の利上げ観測あるいは利上げの余地がNZドル高を支える基礎であったことを証明している。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:NZドル/米ドル 4時間足)
したがって、同じく利上げ観測のあった英ポンドと豪ドルにも要注意だ。利上げ観測に支えられて、今は高値をキープしているが、その観測は材料としてもろく、いったんそれが剥落すれば、失望や反動安で大幅下落となりかねない。
■英ポンド/米ドルチャートの「ダマシ」が頭打ちのサイン
その上、両通貨は本質的に買われすぎの状況にあり、テクニカル的な視点から見ても修正される気運が高まりつつある。
実際、両通貨はそれぞれ頭打ちのサインを点灯している。英ポンド/米ドルの場合、7月15日(火)の大陽線に注目していただきたい。
同大陽線の安値は、6月30日(月)以来の安値更新となっていたが、高値は2013年7月安値を起点とした上昇波の最高水準を更新していた。
(出所:米国FXCM)
よって、本来ならば強いチャートであり、これから続伸するサインであったが、結局、さらなる高値更新はできず、その後、同日安値の1.7059ドルを割り込んでいる。
つまり、7月15日(火)のチャートは、一種の「ダマシ」的な存在と化すわけだが、「ダマシほど正確なサインなし」という視点から、英ポンド/米ドルは、すでに頭打ちした疑いが濃厚になってきたと思う。
豪ドル/米ドルについては、昨日(7月24日)、一時0.9473ドルまで上昇したものの、結局、陰線引けで、日足における大型「複合型三尊(※)」の可能性を強化しているように見える。
(※編集部注:「三尊型」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。仏像が3体並んでいるように見えるために「三尊型」と呼ばれていて、人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダー」と呼ぶこともある)
(出所:米国FXCM)
これから7月1日(火)の高値0.9504ドルをブレイクできない限り、豪ドル下放れのリスクが高いとみる。
■米ドル/円102円台タッチは、ロング筋最後の逃げ場?
米ドル/円に関しては、目先再度102円の節目にタッチできそうだが、この節目の前後で頭打ちが再度確認できれば、2月安値から構築された大型保ち合い変動における最終子波の終焉につながり、反落の気運を高めるだろう。
今回こそ101円の節目を下回り、100円大台の心理的節目に迫る見通しだ。ロング筋にとって、102円大台のタッチがあれば、最後の「逃げ場」とみなすべきか。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
当然のように、マーケットにおける見方は常に対立しているからこそ、マーケットが成立するわけで、巷では米ドル/円の102円大台回復を新たな米ドル高・円安の起点とみなす向きが多い。
ただし、前回コラムで指摘したように、ミセス・ワタナベたちのポジションがすでに大きく円安方向に傾いている現状では、102円台の回復があっても、いわゆる「踏み上げ」は発生しにくい。むしろ、101円や100円の大台割れが生じた場合に、圧倒的な「投げ売り」が出やすいのでは。
【参考記事】
●マレーシア航空機撃墜でVIX指数急上昇! ミセス・ワタナベはヘッジファンドのカモに?(7月25日、陳満咲杜)
ゆえに、筆者は引き続きクロス円を含め、円安の余地は限定的で、円高の進行がこれから本格化していくとみる。市況はいかに。
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