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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

マレーシア航空機撃墜でVIX指数急上昇!
ミセス・ワタナベはヘッジファンドのカモに?

2014年07月18日(金)16:18公開 (2014年07月18日(金)16:18更新)
陳満咲杜

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■マレーシア航空機撃墜でVIX指数は急上昇

VIX指数は急上昇している。マレーシア航空機が撃墜されたことを受け、マーケットが動揺しているからだ。いつものようにリスクオフのムードで株は下落、金と米ドル、そして円は買われる傾向にある。

 このコラムでもたびたび強調してきたように、歴史的な低水準にあるVIX指数が反騰してくる運命にあるなら、何らかの材料があとに続く形でマーケットの変動率を拡大させるはずだ。

 民間航空機の撃墜というショックな事件をもってこの仮説が証左されること自体、まったくよろしくないが、材料はどうあれ、値動きの蓋然性を説明する上では、まったくの偶然とは言い切れないのでは。

7月11日(金)の本コラムに、筆者がもっとショックな材料が出る可能性を指摘していただけに、こう言っても後解釈ではないだろう。もちろん、今回の材料をもって材料の出尽くしという意味合いではないことも強調しておきたい。

【参考記事】
ポルトガル最大手銀行をめぐる信用不安!もっとショッキングな材料が出る可能性も…(2014年7月11日、陳満咲杜)

 そもそも今回の事件は、長くリスクオンに慣れてきたマーケットのように、国際社会の一種の怠慢に起因している側面が大きい。

 ウクライナ東部の紛争と混乱が周知されているにもかかわらず、同空域上空は多数の国の飛行機が通過しており、回避措置をまったく取っていないと聞く。危機意識と危機管理の欠如は、いつも慢心と傲慢に起因することが多いが、今回も然りであろう。

 地政学リスクは常に存在しているが、「大きい安定」に慣れていたマーケットはその都度反応し、その後、乗り越えてきた。

 しかし、今回もそのパターンで終わるかどうかは不透明だ。事件の真相解明につれ、オバマ政権に軍事行動を迫る圧力が高まるかもしれないし、中東の混迷と相俟って、地政学リスクの一段の拡大は十分あり得るからだ。

■本来ならば円は一段と買われてもおかしくないが…

 もっとも、今回の事件を受け、為替マーケットの反応は限定的で、比較的、株式のほうが激しく反応した模様。低い変動率に留まった為替マーケットと違い、株式のほうが内外とも大きく上昇していた分、地政学リスクの浮上により反応したと言える。この意味でも、株式市場の行きすぎがうかがえる。

 そして、リスク回避先としての円は、本来一段と買われてもおかしくないが、現時点では円買いの勢いは加速しているとも言いにくい。

世界の通貨VS円 1時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨vs円 1時間足

 長く低下し続けたボラティリティーは、狭いレンジ変動を強いられているだけに、打破するにはより大きなエネルギーを必要とするのかもしれない。

 逆説的となるが、この意味において、地政学リスクはこれから収まるより、一段と拡大されていく可能性が大きいのでは。

■ミセス・ワタナベは今後ヘッジファンドの食い物に?

 ところで、ミセス・ワタナベさんらの行動は気になる。調べによると、6月末まで、日本の個人投資家たちによる米ドル/円のロングポジションは総額2兆6580億円に達し、5月末の同1兆7620億円から大幅に増加していた。

 そして、8つの主要外貨に対して、円のショートポジションは、総額3兆4400億円に達しており、円売り一筋の状況がわかる。

 足元、米ドル/円が再度101円台をトライしているが、円売りポジションの総計は、やや減少といった状態に留まり、圧倒的な個人投資家は円安トレンドに確信を持っている様子もうかがえる。

 ミセス・ワタナベらの力を根拠に、大手証券会社の為替チームは円安トレンドの継続といった予測を出しているが、筆者は逆の立場だ。

 つまり、これからヘッジファンド勢が円買いを仕掛け、彼らに損切りを迫る局面を作り出すだろう。ミセス・ワタナベらのポジションを食い物にするというわけだ。

 もはやアベノミクス相場ではない足元において、円売りポジションを無闇に積み上げる個人投資家が置かれる状況は、ウクライナ紛争地域の上空を通過する飛行機のようなもので、運試しの側面が大きい。

■ユーロ/円、米ドル/円の心理的節目はどこに?

 繰り返しとなるが、危機意識と危機管理の欠如は、慢心と傲慢に起因していることが多いから、アベノミクス相場で儲かった個人投資家の多くはおごっているのではないかと、僭越ながら推測できる。ゆえに、いったんトレンドが逆転してくると、より大きな値動きを想定できるだろう。

 この場合、前回も強調したように、米ドル/円より外せないのがユーロ/円のショートポジションである。

【参考記事】
ポルトガル最大手銀行をめぐる信用不安!もっとショッキングな材料が出る可能性も…(2014年7月11日、陳満咲杜)

 また、ユーロ/円の下落につられる形で、米ドル/円が下値を切り下げていくといった市況も十分想定できる。

 ユーロ/米ドルに関しては、2013年11月8日(金)のコラムにて提示したチャートのとおりに動いているから、煩わしい説明はいらないと思うが、ユーロ/円の下値余地はユーロ/米ドルとリンクしているところを看過できない。

【参考記事】
「ドラギ・ショック」と「米GDPショック」で波乱の相場!ドル/円の上放れは先送り?(2013年11月8日、陳満咲杜)

 ユーロ/円の下値ターゲットは、やはり本コラムがたびたび提示してきたように、136円の節目割れをもって、132~133円に据えたい。

ユーロ/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足

 もちろん、それが最終ターゲット、といった意味合いでもないから、136円の節目割れがあれば、ロングポジションを保有するミセス・ワタナベらの楽観心理を圧迫する要素となろう。

 同じような心理的な節目は、米ドル/円の場合はどこだろうか。2月や5月安値の100.75-80円は1つの節目で、わかりやすく言えば、100円の大台だろう。

米ドル/円 日足

 

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

■嵐はこれからやってくる!

 円安トレンドは不変という楽観心理は、この節目割れがあれば、大きく修正されると予想できるのには、以下の2つの理由にある。

1.キリのいい節目で、マスコミに取り上げられやすい
2
.この節目割れがあれば、前述の大手証券の為替チームも含め、多くの「専門家」は見通しを転向する可能性が大きい

 言ってみれば、円安トレンド加速や株高継続への確信は、それ自体は群集心理であり、大した根拠を持たない。

 アベノミクスの効果が過大評価されていることがあれば、外部要素の良さ(良すぎたと言える)に依存しているところが大きく、外部要素がこれからどんどん厳しくなるにつれ、同効果もよく検証されるだろう。

 相場が行きすぎた分、修正を避けられないなら、嵐はこれからだ。

 念のため、7月9日(水)に作成していた米ドル/円の「最新」チャートを掲載する。

米ドル/円 日足(7月9日作成、クリックで拡大)
 

(出所:米国FXCM

 自己責任でご参照を。

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