■ドラギECB総裁の発言でユーロ/米ドルはいったん底打ち
ドルインデックスの対極として、ユーロ/米ドルのチャートを見れば、わかりやすい。昨日(12月4日)はドラギECB(欧州中央銀行)総裁の発言が市場関係者をがっかりさせたため、ユーロ/米ドルの買い戻しが見られた。
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市場関係者はECBによるQE(量的緩和)政策に期待し、具体的な手段(国債購入など)を聞きたがったが、ドラギ総裁はそれを示唆せず、むしろQE策後ズレの可能性を暗示していた。
ユーロショートポジションが過大に積み上げられている以上、ショートカバーの動きも当然な成り行きで、ユーロのいったんの底打ちにつながっている。
5月高値1.3994ドルから、ユーロはほぼ一本調子に下げてきた。ユーロ安を押し進めた原動力は、何と言ってもECBのQE策にからむ思惑であったが、QE策の早期実施がなければ、思惑の後退で利益確定の動き、つまり、ユーロの買戻しにつながるのも自然な動きだ。
「ネコも杓子も」ユーロ売り、誰でもユーロのショートポジションに片寄っている目下の状況では、買い戻しがいったん始まれば、その効果も軽視できないだろう。
■ユーロ/米ドルはテクニカル的にもリバウンドの可能性
テクニカルの視点では、2014年5月高値からの下落波を5波構造と数える場合、10月高値1.2887ドルから最終子波の進行がカウントできる。
この最終子波自体の5波構造の完成も、昨日(12月4日)の安値をもって鮮明になりつつある。
また、9月からRSIが構築されてきた「強気ダイバージェンス」の継続や10月からの値動きが示すダイアゴナル・トライアングルといったフォーメーションの形成から考えて、いったん底打ち、至ってリバウンドを展開する可能性が増しているとみる。
【ダイアゴナル・トライアングルの参考記事】
●宮田直彦氏に聞く(3) 米ドル/円相場は「最終局面の最終局面の最終局面」にある
(出所:米国FXCM)
そうなれば、前述のように、今晩(12月5日)の米雇用統計で良い数字が出ても、ユーロ/米ドルの下落余地は1.22ドル台までに限定されるのではないだろうか。
また、良い数字が出てもユーロ売りが進まず、逆にユーロの買戻しが見られた場合、米ドル/円と反対に「ウワサの売り、事実の買い戻し」が確認され、マーケット全体がしばらくスピード調整の段階に入るだろう。
もちろん、スピード調整があっても、メイントレンドは修正できず、いずれ米ドル高のトレンドへ復帰するだろう。
ただし、スピード修正は通貨ペアごとにその程度も違ってくるから、想定できる範囲では、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の上値余地を再考する必要も出てきたが、やはり、クロス円の中でも通貨ペアによって、それが違ってくる可能性が大きい。
クロス円代表格のユーロ/円は、最大152~153円台へ上昇余地を修正しておく必要も出てくるが、それには前提条件もいくつかある。詳説はまた次回。
(14:30執筆)
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