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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

ギリシャのユーロ離脱(Grexit)懸念などで
ユーロ/米ドルは1.15ドルへ向けて続落か

2015年01月08日(木)17:37公開 (2015年01月08日(木)17:37更新)
西原宏一

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■SNBは外貨準備でユーロが積み上がってきた

 マーケットとSNBの熾烈な攻防が続いているユーロ/スイスフランですが、ユーロ/スイスフランは本稿執筆時点で1.2010フランで推移。

 SNBは、マジノ線(※)である1.2000フランを決壊させないように、介入(ユーロ買い・スイスフラン売り)を続けていると想定されます。

(※編集部注:「マジノ線」とは第二次世界大戦前にフランスがドイツとの国境に築いた難攻不落と言われた要塞のこと)

ユーロ/スイスフラン 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/スイスフラン 4時間足

 結果として、以下の記事にもあるように、SNBの外貨準備にはかなりの額のユーロが積み上がることに。

スイス中銀の外貨準備が12月に急増、為替介入受け

国際通貨基金(IMF)基準で集計された暫定値によると、スイス国立銀行(中央銀行、SNB)の12月末の外貨準備は4951億0400万スイスフラン(4901億5000万ドル)となり、11月の4626億6900万フラン(改定値)から増加した。
中銀は、ロシアの通貨ルーブルの急落でフランに買いが集まったことを受け、対ユーロでのフランの上限を防衛するために先月為替市場への介入を実施していた。

中銀は先月、ユーロ圏経済への懸念やロシア市場の動揺を受けたスイスフランへの逃避買いを抑制するため、マイナス金利を導入する方針を示し、中銀預金金利をマイナス0.25%とした。

出所:ロイター

 この大幅に増加したユーロをSNBは外準調整する必要があります。

■SNBの外準調整でのユーロ売りがユーロ/米ドルの重し?

 具体的には、ユーロ/米ドルの売り、ユーロ/円の売り、ユーロ/英ポンドの売りがマーケットに持ち込まれることとなります。

 2015年年初のユーロ/米ドルとユーロ/円の急落の背景にはSNBのこうしたフローが影響していると想定されます。

ユーロVS世界の通貨 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 4時間足

 つまり、ユーロ/スイスフランの1.2000フランを死守するためにSNBが介入を続けたとしても、外準調整によって、その後、ユーロ/米ドルの売りがマーケットに持ち込まれることになります。

 さらに、1.2000フランが決壊してしまうと、ストップロスを巻き込んで、ユーロ/米ドルが急落する可能性が高まります。

 このSNBの動向が、ユーロ/米ドルの新たな重しに。

 ECBによるQE観測、Grexit、そしてSNBの外準調整とユーロ/米ドルを取り巻く環境はさらに悪化。

 1.15ドルへ向けて続落するユーロ/米ドルの動向に注目。

ユーロ/米ドル 日足

(出所:米国FXCM


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