昨日の欧州序盤では、ドル円は117円台の後半。アジア時間では118円台乗せこそできなかったものの、それでも高値追いの勢いが続いており、海外市場では簡単に上がってしまうものかとも思われた。買っていた主体は日本人がメイン。日本株もナイトセッションで上昇してきており、リスクテークには理由は事欠かない。私もドル円の買い態勢で臨んだのであった。とくに118円ちょうどテイクンでだ。
しかし18時半過ぎにユーロドルが急落。昨年来の安値であった1.17台を通り越して、画面で調べると1.15台までつけている。いつそんなレートがついたのかとも思える速さだった。しかし目の前にあるレートは1.16台。やはり何か起きたのだ。単なるフレッシュローのためによるストップロスだけではなさそうだ。
ニュースを調べると、スイス中銀がユーロスイスの介入をやめるのだという。避難通貨としてのスイスフランの歯止めが取れたのだ。無制限にスイスフランを供給するといっているのと同じことだったのだから、それを止めるというのは事実上のタイトニングと同じことだ。
マーケットではユーロ売り圧力が増大。これはやむをえないことだ。ユーロの完全な水準訂正を迫られる突発事項だ。私も細かく何度かユーロドルをショートにしては買い戻す。反発するにしても、引っかかりどころというものがある。戻し局面でもレートの動きが止まったところで売ってみる。アゲインストに持っていかれれば、即座にカットだ。このようなパニックに陥った状況の中では、何が出てくるかわからないからだ。
ユーロ関連に集中していたが、ドル円も急落。116円台の前半まで押されて、今年の安値である116.07をアタック。118円台が見えかけていたのに、よくもここまで押すものだ。ユーロの全面安が進んでいるので、ドル円もカバーベースで下げてしまったのだ。ユーロドルは1.17台まで戻したりもしたが、今度はドル円の戻りが鈍くなった。117円台まで戻してきても、そこは完全に売りこまれてしまう。
しかしユーロドルはニューヨーク時間で再び安値攻め。欧州時間につけた安値である1.1578をも下回ってくる局面があった。そして安値は1.1568まで記録。ニューヨーククローズに至るまでには1.16台まで回復して終了したが、それでも大きく安くなって一日を終えることになったのは現実である。
1.16台まで来たらもっと揉んで時間がかかるかと思っていたのだが、こんな市場の混乱で一気に1.15台まで差し込むというのは想像を超えていた。1.1640あたりが2005年の安値である。つまり10年ぶりのユーロドルの安値なのだ。その間にリーマンショックがあっても欧州不安があっても下割れしなかったレベルなのだ。ユーロは新世界に突入したのだと考えて、今後は対処するべきであろう。
今晩も経済イベントなどは軽視されて、ユーロの動向や株価動向がマーケットを主導するだろう。今日のアジア時間で底値を脱したようにも見えるが、しょせんは細腕の日本人の買いによるもの。これから訪れる海外市場での状況を注視したい。
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