昨日はアジア時間でドル円は119円台の前半で小動き。すでに視点は夜中のイエレン議長の発言に向かっている。気になるのは今年に入ってからの経済指標の改善だ。とくに雇用関連も改善が顕著になってきており、通常であれば利上げに向かっても構わないところだ。そこをどこまでセーブするのか。マーケットに妙な誤解を与えないためにも、どのような回答をするのか。また議長という職責上、言質を与えてもいけないところだ。
欧州時間ではイエレン待ちだが、ギリシャの公約リストがEU側に承認された。これは想定内のことだが、それでもマーケットはリスクテークで反応する。ドル円もなかなか超えられなかった119.50をブレークしてきた。ここ2年ばかりの間、ことあるごとに歴史的な最高値を更新してきていたドイツ株や米国株であったが、ついにイギリス株もITバブルのときの高値を抜けてきた。欧州市場ではギリシャ問題の先送りを歓迎はしているようだ。
さてイエレン議長。利上げする前にガイダンスを変更すると明言し、さらにガイダンスが変わったからといって、即座に利上げするわけではないと釘を刺すのも忘れなかった。労働市場は改善の余地ありとして、インフレ目標のプラス2.0%に相当の自信が持てるまで粘りたいなど、かなりハト派的な内容であった。
これでドル金利の先高観は払しょくされた。実際のドル金利は短期も長期も低下する。為替相場は最初こそドル高に進んだが、これはそれまでの流れの延長線上の動きだろう。ドル高で進んできたのだから、マーケットのコンセンサスの動きとしてドルは上がると見込んでいた人々によるファーストアクションであった。
すぐにドルは下落に向かった。ドル円は119円台の前半まで押し込まれ、しばらくは粘ったものの、ついに118円台に突入。トップから約1円幅の下げとなった。典型的な金融相場となって、株高、債券高となっている。
ドルが売られて、迎えた本日のアジア市場。朝がたこそ日本人の買いも出てきていたが、ドル円は119円台に戻すことはできず。仲値決めも済んでしまうと、そのままズルズルと値を切り下げてきている。まだ様子を見たいところだが、ドルの下値を確認したいところだ。
では簡単に117円台とか目指すのか。昨日、ちょっとドル円やユーロ円を買い過ぎた感じもあるので、短期的にはまだ下げる余地はありそうだ。今晩もイエレン議長の発言はあるが、テキストは昨日のものと同じものであろう。マーケットにインパクトはないはずだ。
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