■饒舌すぎたドラギ総裁、市場はショックでユーロ急騰
中国には「言多必失」という諺がある。文字どおり、「言葉が多ければ必ず失うものがある」ということを言い表す。
昨日(12月3日)のユーロの急反騰をみて、ドラギECB(欧州中央銀行)総裁は自分の饒舌さに後悔しているのではないかと推測される。
何しろ、昨日(12月3日)、ユーロ/米ドルは1.05ドルの節目手前から何と一気に1.0981ドルまで急騰、ECBが望むユーロ安と逆行する方向に大きく突っ込んだ。
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ネコも杓子もユーロを売っていたから、ECBの決定をみて皆が一斉に手仕舞いし、ユーロの急騰がもたらされたわけだ。
ネコも杓子もユーロを売っていた状況を作り出したのは、ほかならぬドラギ総裁を始めとするECBのメンバーたちだ。
特にドラギ総裁は、「何度もやる」、「すべての政策手段を尽くす」といった発言を繰り返し、ECBが事前にマスコミに「大幅利下げ」といったリークをもらしたのかと疑われるほど、市場はECBの行動、それも大胆な行動に期待を膨らませていた。
■過剰なサプライズを期待した結果、“予想どおり=失望”に
ウォール街もあおっていた。あのGS(ゴールドマン・サックス)はECB理事会前にユーロ/米ドルが1.05ドルの節目に迫ることを予想(これは当てた)、さらにECBの発表後に200~300pips下落する見込みありと予想していた。
GSがユーロ安予測の最右翼とはいえ、ドラギ総裁の話を聞く限り、ユーロ安の観測に異議を唱える者はいなかった。ネコも杓子もユーロ安に賭け、違いは程度の差のみだった。
何を隠そう、筆者もその1人だった(せめてネコにしておこうか…)。ドラギさんがあんなに言っていたのだから、サプライズがあるとすれば、ユーロ高ではなく、さらなるユーロ安に作用する材料があるのではないか、と思っていた。
しかし、一抹の不安もあったため、ECBの金利決定直前、このようにつぶやいた。
結局、こういった不安が現実になった。心配したとおり、マーケットの事前予測と同じ政策が発表されても、ユーロはさらに売られるのではなく、逆にショート筋の総踏み上げが展開された。何しろ、マーケットは大きなサプライズを期待していたから、予想どおりの政策は物足りないばかりか、かえってマーケットの失望を誘ったわけだ。
もっとも、ドラギ・マジックという言葉があったように、ドラギ総裁は市場の予想範囲を超えた行動を起こし、サプライズを演出するのに長けていた。が、今回は明らかに失敗だった。
強いていえば、今回は予想範囲を超えるどころか、予想よりも見劣りのある内容だったと言える。あんなに「何でもやる」と言い切ったドラギ総裁の言葉を思い出せば、市場関係者は多少であれ、ドラギ・ショックを受けたに違いない。
というのは、ECBは量的緩和(QE)を6カ月延長して…
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