先週の金曜日はクリスマスで、世界中がお休み。東京時間が終わると、すべてのマーケットがなくなった。外債の切り崩しの懸念が続いているので、ドル円やユーロ円は重いままであった。円がらみの通貨ペアでスポットデートが新年入りするのは、水曜日まで待たなくてはいけない。もうしばらく当面は円買い圧力の強い状態が継続しそうである。
今週は今年の最終週なので、2015年のマーケットを振り返っておこう。今年のトピックになった原油相場、中国のスローダウン、アメリカの利上げについて、それぞれ見ていこう。今日は原油相場についてである。
原油価格は昨年の年末に50ドルの大台を割り込んで、マーケットに大きくリスク回避を促したことは記憶に新しい。今年は50ドル台まで戻して、年内にも70ドル台や80ドル台まで簡単に戻すものと思われていた。そう見ている識者も実際に多かった。
しかしOPECなど産油国の生産調整は進まず、まずはシェアを獲得するほうを優先した。70ドルよりも下だと、アメリカのシェールオイルの生産はペイしない。そこでまずは原油価格の低位安定が図られた。アメリカの産油業者もダメージを食っただろうが、より大きかったのはロシアやブラジルである。
こうした国々ではそのGDPのかなりの部分を占めているだけあって、通貨も大きく売りこまれた。完全に原油価格と連動している。そして通貨安が財政不安を呼び込んで、ブラジルなどは国内政治も不安定になっている。
原油相場は何度も戻りを試すが、供給量のダブつき感がぬぐい切れない。これだけ安いのだから、量でカバーして資金を稼ごうとするのが常道である。しかしアメリカの原油在庫などを見ると、増え続ける一方である。
これはつまり損をしてでも原油を売り出すよりも、まだ戻りを期待して保有し続けようという意向の表れだろう。在庫が増え続けている状況を見せつけられると、だれも相場の戻りの高値追いなどしたくはない。
そして中東情勢の悪化も深刻化したが、通常ならば原油買いで反応すべきなのだが、イスラム国が油田地域を抑えており、その資金源が原油の密輸であるという報告書が出てきた。
そのうえ、イランの経済制裁が解除されそうで、それまでストップされていた原油輸出も再開されるという。さらに当のアメリカも30年ぶりに原油輸出を解禁する方向に動くという。供給過剰感は高まった。
後は短期的なポジショニングで動いているだけだ。頭が抑えられた格好で、ショートだけが溜まっていくので、ときどきショートカバーが起こるが、根本的なところが変わっていないため、大きな流れを変えるには至っていない。
原油価格というのはマーケットの中でいちばんリスク性の大きいものとされている。市場の中のリスクの行方は、原油相場に振り回されるといってもいい。原油を取り囲む外部環境に劇的な変化が見られなければ、来年もリスクのダウンサイドリスクは高まるだけなのだろう。
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