■今晩の米雇用統計の結果にかかわらず下落トレンド維持か
そうなると、米ドル全体の反落トレンドがこれからも続き、今晩(4月1日)の米雇用統計次第で一波乱があっても、メイントレンドは維持される公算が高いと判断できる。したがって、来るべき安値は左側(過去のローソク足)と見比べないといけないので、週足をもって見てみたい。
が、ドルインデックスの週足を見る前に、まず米ドル/円の週足を見てみたい。そこからヒントが得られるはずだと思う。
日足に比べ、週足では「ピンバー(上ひげ、あるいは下ひげ風のローソク足で、終値と高・安値の距離が遠いパターン)」が出にくく、また、極端なケースが少ない。したがって、米ドル/円における2015年8月24日(月)~の週の週足はかなり珍しく、また、それゆえに大きな役割を果たしている。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
まず、同週のローソク足をもって下げ一服を強く示唆し、その後の切返しをもたらした。
ただし、切返しのトップ(B)が昨年(2015年)の高値(A)を更新できなかったため、今度は同「ピンバー」は「磁石」の役割を果たすようになった。要するに、高値更新できなかったから、一転して相場は同週の安値を記憶し、同安値を更新していこうといった値動きを強化したわけだ。
となると、ドルインデックスの週足における「磁石」はどこにあるか。
下のチャートを見ればわかるように、8月24日(月)~の週の週足が明らかに「ピンバー」であり、値段を引き寄せる「磁石」のような存在だと言える。
(出所:CQG)
もっとも、ドルインデックスは2015年11月の高値が、わずかな値幅をもって2015年3月高値を突破したものの、その後、大きく反落してきたから、プライスアクションの視点では、もっとも典型的な「フォールス・ブレイクアウト」、すなわちダマシのサインを点灯していたことになり、足元の安値打診は理にかなう。
ゆえに、2015年8月安値(92.62)が「磁石」として役割を発揮しても、サプライズではなく、むしろ前述のサインと整合的なシグナルを発信していると言えるだろう。
ドルインデックスの値動きと正反対の傾向を示すユーロ/米ドルはどうなるだろうか。以下のチャートを見てみよう。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 週足)
2015年8月24日(月)~の週のピンバーが気になる。米ドル/円とは反対に、その後、反落した安値(B)は2015年3月安値(A)を割り込んでいなかったので、目下の切返しの継続は納得できる。
同じ「磁石」の役割を2015年8月24日(月)~の週のピンバーが発揮していくなら、ユーロの反騰がなお途中であると暗示されるのでは…と思う。
こういった見方は、極めて重要な視点で、また、非常にシンプルなものだが、「シンプル・イズ・ザ・ベスト」という意味では、実に王道であり、テクニカルアナリシスの神髄に迫る見方だと思う。こういった基本的な見方を身につければ、巷の俗論に流されず、正しいスタンスをもって相場に臨めるだろう。
■米ドル/円がまだ112円台であることがエイプリルフール
ちなみに、米金融政策云々で米ドル/円の押し目買いを勧める論調がまた強まっているが、筆者は基本的な視点を維持。米ドル/円が105~106円の下値ターゲットを打診していないうちの本格的な上昇はあり得ないとみる。
換言すれば、目下、米ドル/円の値動きがやや鈍くなっているが、ベアトレンド自体が修正されたのではなく、あくまで途中であることを強調しておきたい。ゆえに、押し目買いではなく、戻り売りが正解であろう。
筆者からすれば、桜がすでに咲いているのに米ドル/円がなお112円台を維持していること自体が、エイプリルフールであるとみえる。市況はいかに。
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