(※編集部注:当記事は、2016年4月28日に実施した取材を元に作成しています)
FXトレード・フィナンシャルで開催されている「リアルFXトレードバトル」で、これまで何度も首位争いを演じているニックネーム「まさと」氏が、ザイFX!のコラム「どうする?どうなる?日本経済、世界経済」でもおなじみの今井雅人さんであるということがこのたび発覚!
そこで、ザイFX!では今井さんに突撃取材を行った。
相場が動く時に狙いを定めてガッツリ稼ぐ!
「リアルFXトレードバトル」に参戦することになったきっかけは「お付き合い」からと言う今井さん(FXトレード・フィナンシャル社長の鶴氏とは為替ディーラー時代からの知り合い)。
バトルにエントリーした記憶もあやふやながら成績はバッチリ。
前回、2016年1月5日(火)~3月31日(木)までのトレードバトルでは700万円超の利益を稼ぎ出し、今回も4月1日(金)~4月30日(土)までの集計で300万円超の利益を上げている。いったいどんなトレードをしているのか?
1位のトレーダーは500万円以上の利益を上げている。「まさと」こと今井雅人さんは、300万円以上の利益を上げているが、惜しくも2位!(出所:FXトレード・フィナンシャル)
「ポジションは、米ドル/円かユーロ/円のショート。とにかく忙しくて時間がないので、小さな取引を何度も繰り返すというようなやり方はムリ。相場に動きがある時に、方向性を定めて仕掛けています」と語る。
衆議院議員であり、金融情報サービスを提供するグローバル・インフォの代表取締役会長を務める今井さんは超多忙。マーケットは毎日30分くらいチェックしているが、パソコンの前に張り付いてトレードに専念する時間の余裕はない。
衆議院議員にグローバル・インフォの代表取締役会長…。多忙を極める今井さんには、パソコンに張り付いてトレードに専念する余裕はない
チャートもシンプルなローソク足しか見ておらず、毎日トレードしているワケでもない。相場が動かない時はムリにトレードはせず、ポジションを建ててから、状況によっては1カ月くらいホールドすることもあると言う。4月の決済回数もわずか6回だ。それで300万円以上の利益を稼ぎ出すのだから、やはりタダ者ではない。
ちなみにFXトレード・フィナンシャルのメタトレーダー(MT4)には、オリジナルインディケーターで「FXTF-Tweet.ex4」というものがあり、これを使用すると、直近の今井さんのツイート内容が取引システム内に表示される。
「引き続き米ドル/円ショート。突っ込みすぎの調整後、また下がり円高へ向かうとの見通し」、「うまく円高に。米ドル/円ショートをクローズ。107円台はしっかりしている。様子見」など、ツイートを読むと、今井さんの相場観や戦略、どんな取引をしているかを垣間見ることができる。
ツイートを見る限りでは、4月上旬~中旬の下落と、調整を挟んだ中旬の再下落(ドーハ会合前後)時にショートで臨み、利益を積み上げたことがうかがえる。
取引単位はドーンと100万通貨。ストップ? 面倒くさい…
相場の方向性を見極め、ガツンと大きく投資する今井さん。1回あたりの取引単位は、100万通貨。庶民感覚としては10万通貨でもちょっと多めな気がするし、100万通貨となると一般的な個人投資家は躊躇してしまう額だが、大手銀行で敏腕ディーラーとして活躍した経験のある今井さんは特に抵抗はないらしい。
「実は2015年に、1000万ドルのトレードをして大損したんです。2、3円やられると2000万円、3000万円の損失になりますから、さすがにこれは良くないと思いましたね。自分の感覚としては、500万通貨以上のトレードになると大きいと感じます」
元大手銀行の敏腕ディーラーでもある今井さん。さすが元プロ。取引単位100万通貨くらいじゃポジションが大き過ぎるなんて思わない!
取引単位が大きくなると当然、資金もたくさん必要になるので、どのくらいのレバレッジをかけているかは気になるところだ。しかし、今井さんはレバレッジをほとんど意識しないと言う。
「自分にとっては、いくらのポジションを持っているかということが大事で、それに対する証拠金がいくらとかはあまり関係ないですね」
ただし、これはトレードのツボを熟知しているからこそ言えること。証拠金が足りなくなって強制ロスカットされたりしないよう、一般的なトレーダーはレバレッジを意識しておいた方が良いだろう。
レバレッジを気にしない今井さん。「面倒くさい」という理由でストップロスも設定していない。
「自分は特に必要性を感じないので設定していませんが、本当は良くないのでおススメはしません」
――100万通貨単位のトレードでレバレッジは気にせず、ストップロスも設定しない――これでコンスタントに利益を稼ぎ出せるのは今井さんだからこそと言えるだろう。一般的なトレーダーがマネすれば、大やけどをする可能性大なので要注意。
2015年も一時は5000万円の利益が出ていた!
今井さんと言えば、国会議員の所得公開で2014年にFXで5000万円超の利益を上げていたことが明らかになり、話題を集めた。この時は、日銀の追加金融緩和発表後に米ドル/円を買い増していき、約1カ月半でこの金額を稼ぎ出した。
【参考記事】
●衆議院議員・今井雅人氏に聞いてきた(1) FXで5000万円超、どうやって稼いだの!?
●衆議院議員・今井雅人氏に聞いてきた(2) 数百万ドルのドル買いは125円台で全決済!
●衆議院議員・今井雅人氏に聞いてきた(3) アベノミクス終了!? 5000万円は選挙資金に
「実は2015年も最初のうちはユーロ/米ドルのショートで5000万円くらい利益を上げていたんですよね。でもその後、米ドル/円のロングで失敗し、利益を飛ばしてしまって、800万円くらいしか残りませんでした」と淡々と語る。
5000万円の利益を上げるのもすごいが、ウン千万円を飛ばしても平然としていられるというのもある意味スゴイ。
「FXはお金を儲けたいというより、トレードするのが好きなので趣味としてやっている感じですね。たまにどこまでいけるか、ゲーム感覚で挑戦したくなる時がありますが、そういう場合はたいてい失敗します。
一例を挙げると、2015年、125円台をつけたあと、再度125円をつけることを期待して、122円で米ドル/円のロングポジションを建てたのですが、結局、119円で損切りすることに」
と言いつつ、過去の記事を見ると数百万ドルのポジションを125円台で決済しているので、かなりの利益を上げているはず。2015年分の所得公開も注目したいところだ。
【参考記事】
●「衆議院議員・今井雅人氏に聞いてきた(1) FXで5000万円超、どうやって稼いだの!?」
●衆議院議員・今井雅人氏に聞いてきた(2) 数百万ドルのドル買いは125円台で全決済!
国会答弁中に、ブルームバーグの記事が出て大損!
今井さんの基本的なトレードスタイルは、「チャンスが来るのをじっくり待ち、ここぞという時にすかさず仕掛け、十分に利益が乗ったところで決済」ということになる。
ではチャンスかどうかはどのように見定めているのだろう?
「相場の雰囲気ですね」
それを見極める判断材料の一つが値動きだという。
「たとえば、2016年4月の上旬から中旬あたりで107円台に3回突っ込みましたがこの時は結局、107円を割り込みませんでした。4月中旬にはルー財務長官による日本の為替介入を牽制するような発言があったり、原油増産凍結が見送りになるという、普通に考えれば円高につながるような材料が出ているにもかかわらず、一段の円高とはならなかったワケです」
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
「このように、おかしな値動きをしていないか、注視しています。こういった値動きは、終わってみればチャートにも現れています。107円台に3回突っ込んでも抜けなかったので、この相場はひとまず終わりと見なすべきでしょう。
ショートポジションを持っている人は円高がなかなか進行しないので攻め疲れしており、そのような状態の時に円安につながるようなニュースが出てくるとそちらの方向に大きく動きます」
実際、「日銀が4月に追加緩和を行いそうだ」というブルームバーグの憶測記事が公開されると、急激に円安方向に振れた。
【参考記事】
●市場を大騒ぎさせたブルームバーグ・日高正裕記者の記事。その謎に迫る!
今井さんもこのチャンスをしっかりゲット、と思いきやなんと大損を出していた。
「米ドル/円のショートポジションを保有中だったのですが、国会答弁で3時間以上缶詰になっていた間にブルームバーグのニュースで円安が急進。答弁が終わったころにはすでに大幅な円安になっており、損切りしました。
マーケットの動きを随時チェックはできないので、このようにうまくいかないこともあります。片手間ではダメですね」
ブルームバーグから日銀の追加緩和に関する観測記事が出た時、今井さんは国会議員として答弁中。答弁が終わると円安が進んでおり、この時は損切りに…
この損失により、一時はトレードバトルで首位に立っていた「まさと」氏は2位に転落。もし国会答弁がなければ、まだまだ首位を独走していたかも?
プロのポジション動向はとても大事!
ポジション動向も今井さんが重視しているところ。参考にしているのはCME(シカゴマーカンタイル取引所)の「IMM通貨先物ポジション」だ。
これはヘッジファンドなどの投機筋の建て玉枚数を集計したもの。金曜日の取引終了後に火曜日時点の数値が発表されるので情報の遅れがあるが、デイトレードをしているワケではないので特に問題はないと今井さん。
今井さんは投機筋のポジションの変化によって、相場の方向性を見定めている。
「相場が動くのはプロのお金。職業としてトレードをしている人のポジション動向はとても大事です。為替相場全体から比べると規模は小さいものの、IMM通貨先物ポジションにはマーケットの実態が凝縮されています」
米ドル/円のIMM通貨先物ポジションを見ると、2016年4月はかなりショートが積みあがっていた。ということはプロの多くは円高を予想していたことになる。今井さんもショートで攻めていた。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
「ただし、これだけショートポジションが膨らんでいるのに、思ったほど米ドルが下がらなければ踏み上げられるかもしれませんね。110円を抜けると114円くらいまで行く可能性はあるかも」
今回の取材を行ったのは4月28日(木)の日銀の金融政策決定会合の直前。
今井さんは「4月には追加緩和なし」と予測していた。理由は「この時期に追加緩和を行う正当性がないから」。そして、追加緩和を行ったとしても相場が保つのはせいぜい2日程度。追加緩和しなかった場合は、円高・株安に振れるかもしれないが、かといって円高がどんどん進むということにはならないだろうと言う。
【参考記事】
●日銀追加緩和見送りで円全面高に! ドル/円は一時、108円台後半まで急落!
日銀はいつ緩和に踏み切る? 米国の利上げの行方は?
「現在の米ドル/円相場は、2015年のユーロ/米ドル相場と似ていると思います。ユーロ/米ドルは1.00ドルまで下がると言われつつ、1.04ドル台あたりで頭打ちになり、反転しましたよね。米ドル/円も、今後は一方的に円高が進むというより、115円~110円前後のレンジの中で行ったり来たりになるのではないでしょうか」
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 週足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
さらに今井さんは、次のように指摘する。
「今後はまず、日銀がいつ追加緩和に踏みきるかがポイント。それともう1つ、注目すべきは、米国の利上げの時期と上げ方。6月くらいに利上げを実施するのではないかと考えています。そうなると相場にも動きがあるはずです。
ただし、多くの人は2016年中に2回くらい利上げを行うと思っているので、想定範囲内のことが実施されても大きくは動かないでしょう。相場というのは予想外のことで動くものですから」
今後のポイントは、日銀がいつ追加緩和に踏み切るか、それから米国の利上げ時期とその上げ方にあると言う今井さん。相場とは、想定外のことで動くもの…。2つのポイントに注目したい
FXトレード・フィナンシャルの「リアルFXトレードバトル」は、「まさと」氏が首位争いを繰り広げた第1回が終了し、2015年5月現在、第2回が進行中。6月1日(水)からは第3回(2016年4月1日~6月30日の総合ランキングで争う)の開催が予定されている。ここから、「まさと」氏が再び首位争いに登場するのか? 興味は尽きない!
(取材・文/佐乃美歩絵 撮影/堀内慎祐)
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