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田向宏行
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FX情報局

オプザイルのUSBツールに50万円の価値は
あるのか? その中身はいったいナニ?

2016年11月15日(火)16:57公開 (2016年11月15日(火)16:57更新)
FX情報局

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「オプザイルと個人投資家がツイッター上で戦争! NHKからザイFX!に取材が…!」からつづく)

■オプザイルが販売する「Air」と「Axis」

 NHKのニュース番組『ニュース シブ5時』で特集されたUSBツールを販売する集団「オプザイル」。NHKの特集では、オプザイルを追跡、名古屋でキャッチすることに成功していたが、本人は関与を否定するばかりで、満足いく話を聞くことまではできていなかった。

ザイFX!でもオプザイルについて取材を進めたが、どうもオプザイルは正体がつかみにくい。

 だが、取材を進めて、わかってきたこともある。まずは彼らが販売するUSBツールを見てみよう。

 「オプザイルが販売するUSBツールには2種類あるようです。ひとつは“Air”、もうひとつは“Axis”と名づけられています。内容はほぼ同じで、販売しているグループが違うようです」

 そう教えてくれたのは自身もSNS経由で知り合った人からUSBツールを購入したという北井さん(仮名)だ。

■「シグナルどおりに売買してもまったく勝てなかった」

 「私が購入したのも、NHKのニュースで紹介されていたようなルートです。

 ツイッターで『バイナリーオプションで稼いでいます』という人にコンタクトをとったのがきっかけ。すぐに2人の男性が静岡から東京まで来て、『サインどおりにやれば勝てるから』とUSBツールを40万円で買わされました。

最初は30万円、のちに40万円、50万円と値上げされたようです」(北井さん)

 オプザイルの拠点のひとつが静岡。その他、名古屋、仙台での活動も目立っている。

 「私はまったくの投資初心者。FXの経験もありません。サインどおりに取引して勝てたのは本当に最初の1、2回だけ。あとはまったく勝てなかった」(北井さん)

 彼らが販売するツールとはどんなものなのか。北井さんから借りたUSBツールをパソコンに挿してみた。

コピーガードされたオプザイルUSB

■オプザイルUSBに40万円、50万円の価値はあるか?

 USBメモリーからして普通のものとは違う。中のファイルがコピーできないようになっているコピーガード仕様。主に情報商材販売者向けに作成されているもののようだ。

 その中身はというと、NHKの『ニュース シブ5時』でも触れられていたように、米国のあるFX会社が配布しているメタトレーダー(MT4)だった。メタトレーダー(MT4)はロシアのメタクオーツ・ソフトウェア社が開発した取引ツールで、通常はそれがメタトレーダー(MT4)口座のあるFX会社などを通じて配布されている。

【参考コンテンツ】
ザイFX!×メタトレーダー(MT4)

 オプザイルは、米国のあるFX会社が口座開設者向けに無料で提供しているメタトレーダー(MT4)を有償で配布している時点で、法律を侵害している可能性が高い。

 ただ、通常のメタトレーダー(MT4)と違うのは、特殊なカスタム・インディケーターがインストールされていること。「TheAir」と「TheAirSystem」だ。

オプザイルUSBの中身1(クリックで拡大)
オプザイルUSBの中身1

 そして、このインディケーターなどを表示させる「定形チャート」と、複数のチャートの「組表示」があらかじめ設定されている。

オプザイルUSBの中身2(クリックで拡大)
オプザイルUSBの中身はメタトレーダー4

■矢印で3分バイナリーオプションの購入を指示

 定形チャートにはボリンジャーバンドと移動平均線が表示されているが、目をひくのが矢印のシグナル。これがオプザイルのUSBツールの心臓部だ。

 「上向きなら上昇のオプションを、下向きなら下落のオプションを買うように言われました。業者はハイローオーストラリア(金融庁から警告書が発出済み)、矢印が出た足が確定後、3分後が判定時刻のバイナリーオプションを取引するように、と」(北井さん)

オプザイルUSBのインディケーターの心臓部(クリックで拡大)
オプザイルUSBの心臓部

 ハイローオーストラリアの3分バイナリーオプションは予想が的中すれば約1.8倍の払い戻しで、負けたらゼロ。勝率50%とすれば期待値はマイナスとなる。1.8倍の払い戻し倍率で収益をあげるには、55.6%以上の勝率が必要になる計算だ。

【参考記事】
オプザイルが利用しているのは「ハイローオーストラリア」

ハイローオーストラリアの3分バイナリーオプション(クリックで拡大)
ハイローオーストラリアの3分バイナリーオプション

 ちなみに日本のバイナリーオプションだと、払戻率はおおむね90%から96%前後。ある特定の条件下だと、払戻率が連続して100%を超えている事例も見受けられる。

日本のバイナリーオプション提供会社の払戻率

■“フィボナッチトレースメント”とはいったナニ?

 TheAirのインディケーターは親切にも過去の勝率を表示してくれるのだが、55%を越えているものもあれば、下回るものもあり、バラバラ。いっそ勝率20%で安定してくれているなら、逆指標として使えそうなものだが、表示された数字を見ると50%前後の微妙な水準が多く、これで安定的に勝てるとは思いがたい。

 そう思う人のためなのか、USBメモリーにはPDFファイルも入っていた。そのタイトルは「勝率を上げるために」。

 そういうの待ってた!と思って読み進めると――

基本1.サイクル チャートは常に上昇と下降を繰り返して進んでいく
基本2.トレンドとレンジ トレンド:明らかな上がりor下り
基本3.いつ起こるか トレンド:急に起こる
基本4.バイナリーオプションでは値動きの激しいトレンド相場はNG より安定したレンジ相場を狙うのが鉄則!

 全19ページの中身はこのレベルの内容に終始していた。オプザイルのターゲットが未経験者であることがわかるだろう。果たして、この程度の内容で勝率が上がるのだろうか?

 このPDF資料、記載されている用語にも気になるところがあった。38.2%、50.0%、61.8%といった上昇相場での押し目、下落相場での戻りの目安を示す「フィボナッチ・リトレースメント」を知っているFXトレーダーは多いはず。けれど、オプザイルのPDF資料には、これが「フィボナッチトレースメント」という間違った用語で何度も何度も繰り返し記載されていたのだ。

このPDF資料を作成した人のトレード知識はさほど深いようには思えない。

オプザイルUSBに入っていたPDFファイルの中身

■インディケーターの作者と記載された人物へコンタクト

 PDF資料のレベルはともかく、メタトレーダー(MT4)のインディケーターを作るには一定レベルの知識が必要だろう。このシグナルを作成したのは誰なのか?

インディケーターのプロパティを開くと、そこにはある名前とともに、ブログへのリンクが貼ってあった。そのブログを見ると、メタトレーダー(MT4)のプログラミング言語について知識がある人物であることがうかがえる。ブログ管理人がインディケーターの作者、あるいはオプザイルの黒幕なのだろうか?

 「オプザイル? ツイッターで知った程度の知識しかありません。以前、MT4のプログラミングを教えていた時期があり、ブログに学習用の雛形としてコードを公開したことがあります。そのコードにはブログへのリンクを貼っていた記憶があり、それが流用されたのかもしれません」(リンク先ブログの管理人さん)

インディケーターの製作者?

プロパティのリンク先ブログはオプザイルのツール作成者ではないようだった。たしかに、このブログにはコードが公開されており、これを読めばプログラミング経験のない人でも適当な矢印を表示させるインディケーターを作成できそうな印象だった。

■発端となったのはフェイスブックで流行したツールか

 その他にも作成者では…と思われる人物への取材を進めるうちに興味深いことがわかってきた。

 「もともとの発端はKというバイナリーオプションのシグナルツール。これがフェイスブックで話題になり、ベストセラーとなった。それ以降、Kとよく似たシグナルツールが販売されるようになった」(バイナリーオプションのシグナル作成者)

 そのひとつが、オプザイルの販売するAirであり、Axisだったようだ。KがSNS経由で広まったことを見て、「自分たちも」とツイッターでリア充ぶりをアピールする、独特な販売方法へとつながっていったのかもしれない。

ザイFX!へ取材に訪れたNHKの記者はこんなことを言っていた。

 「中心的な人物がいるようなしっかりした組織ではなく、地元のゆるやかなつながりの中で販売する人が増えていったのでは。一般的にグループによる詐欺事件ではそうした事例も多いんです」

 また、先ほど登場したUSBツール購入者の北井さんはこんなふうに話していた。

 「オプザイルにこう言われて不審に思ったことを覚えています。『1本売ったら10万円あげるから営業がんばってね』と。決して『トレードがんばってね』ではないんです」(北井さん)

 オプザイルの活動は名古屋を中心に静岡、仙台など、特定の地域に集中している。地元のつながりのなかで「コプザイル」が生まれ、「マゴザイル」が生まれてとネズミ講式に増殖しているのかもしれない。

■高額ツールは買わない、買わせない!

 いずれにせよ、オプザイルは今も活動を続けている。20代なら30万円は大金だ。高額なUSBツールを買わされた人はたまらない。泣き寝入りせず、国民生活センターや弁護士に相談してみるのもいいだろう。

 NHK『ニュース シブ5時』の特集でも、華やかな暮らしぶりを見せつけてリスクを十分に説明しないまま勧誘する不法な「雰囲気商法」として不法行為に当たる可能性が指摘されていたので、弁護士に相談するのもいいだろう。北井さんによれば、購入者の中にはオプザイルから返金された人もいるという。

 過去のザイFX!の繰り返しになるが、ハイローオーストラリアのような海外バイナリーオプション業者の利用には出金できないリスクがあるし、何が起きても日本の法律は守ってくれない。

前回の記事でも紹介したが、ザイFX!にもバイナリーオプション比較コンテンツはある。そこに掲載しているのは日本の金融庁に登録され、日本のルールにのっとって営業を行っている日本国内の会社ばかりだ。もしも、バイナリーオプションを取引したいという場合は、このような日本国内の会社を利用するのがいいだろう。

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プザイルが販売するようなシグナルツールだけに頼って勝ち続けることはまず不可能だ。もしも周囲にオプザイルだけでなく、バイナリーオプションの高額ツールに勧誘されている人がいたら全力で止めてあげて!

(取材・文/ミドルマン・高城泰)

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